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組織を3年で約3倍に!拡大の秘訣は、遠回りしてでも本質を追求することにあり~株式会社ネットプロテクションズ執行役員 秋山 瞬~

新卒で小規模ベンチャーに入社し、2年目で関西支社の立ち上げに貢献。責任のある立場のおかげでこれまでの価値観に圧倒的な変化が起きたと語る秋山さん。その経験を生かし、2社目のキャリアとなる株式会社ネットプロテクションズでは、会社を40名から150名規模まで成長させることに寄与しています。今回はそんな秋山さんにチームや組織の成長において大事にされていることをお伺いしています。

目次

予想していなかったジェットコースターのようなファーストキャリア

これまでのネットプロテクションズでの経歴を教えてください。

ネットプロテクションズへは2009年に人事として入社し、2013年から主事業のNP後払いという決済サービスのセールスマネージャーになりました。その後2017年には後任にセールス組織を託し、事業アライアンスなどを行うビジネスディベロップメントグループを立ち上げ、執行役員に就任しています。

ネットプロテクションズに入社される前は何をされていたんですか?

ネットプロテクションズの前はベンチャー企業の経営幹部層に特化した人材紹介会社でした。そこがまたジェットコースターのような激動の日々で。笑

ジェットコースターとはどういうことですか?

2004年に、設立2年目の人材紹介会社に5人目のメンバーとして入社しました。新卒だったのですが、1年後には関西支社の立ち上げをメインで行い約1年半の期間で1名から4名まで事業を拡大させました。

当時、東京関西含め社員数は60名まで拡大していましたが、2009年にはリーマンショックの影響で一気に10名以下になり事実上の解散状態にまで陥ってしまいました。多くのメンバーが退職していくのを見送ったあと、当時のお客様だった株式会社ネットプロテクションズに声を掛けて頂いたのがきっかけで入社し今に至ります。

激動のキャリアですね。

そうですね。ネットプロテクションズに入社してからは、当時40名規模の会社を現在の150名規模に拡大させていきました。ですので2004年のキャリアスタートから2019年現在まで、紆余曲折ありながらも1名から150名くらいの規模まで、組織作りや事業作りに携わってきているというのが私のこれまでのキャリアですね。

自分を大きく変えた関西支社の立ち上げ経験

様々な事業フェーズを経験されていますが思い入れが強い時代はありますか?

色々ありますが、前職での関西支社立ち上げの経験は思い入れが強いですね。半年間で立ち上げをやってみてうまくいかなかったら、私の力不足か、マーケットニーズがないかのどちらかなので撤退しますということを伝えて関西に行かせてもらいました。ですが、私は関東出身ですので関西に地の利がある訳ではなく、本当に0スタートだったんです。それまでは修学旅行で京都・奈良に行ったくらいでしたからね。笑

会社が関西支社立ち上げを秋山さんに任せたのはどんな理由だったんですかね?

どうなんでしょうね。立候補したのはありますが、内定者の時から新規事業を立ち上げさせてもらうなど、裁量を与えてくれる会社だったんですよね。任せる側としてはとりあえずやってみろというスタンスでしたし、任される側としてはこんなに任せてもらえるんだ、という感じで当事者意識をもってやれていたかなと思います。その後は順調に動き出したので、半年で撤退することもなく拡大し、後任に託し東京へ戻ってきました。

後任に任せるって勇気いりますよね

そうですね、かなり勇気が要りました。ですが、人を育てることの究極の方法は、難易度の高い業務でも信じて任せることだと思っています。当時、関西支社長を託した人物は私からすると実力はまだまだで、支社長の業務が担えるスキルに達してないメンバーだったんです。でも、私はどうしても東京に戻らなければならなくて。なので不安を抱えながらも後任に全てを託して東京に戻りました。結果、どうなったかでいうと私がいなくなったことで彼が成長して関西支社長として成り立ったんですよね。

それは素晴らしいですね!

そうなんです。つまり、私が彼をスキル不足と判断していたことによって、彼の成長の限界を作っていましたし、彼の成長の機会を奪っていたんですよ。これは当時、本当に反省しました。この経験が”私の人を育てること”の原点になっていますね。

そうなんですね。任せるということ以外に重要なのはなんだと思いますか?

「自分はもう次のステージにいくよ」と伝え、当事者としてやるんだというマインドを醸成してもらうことですかね。あとは、相手の成熟度にもよりますが、ある程度チャレンジをする場合は伴走することがとても重要だと思っています。次のステージにいくと伝えてから離れるまでの期間は、やって見せ、やらせて見せて、メンバーが自律して動けるように伴走を意識しながらサポートをする必要があると思っています。

ビジョンやミッションを社員全員で決めることで見えること

ネットプロテクションズでの40名⇒150名の急成長の要因はなんだったんですか?

要因は沢山ありましたが、きっかけになったのは人事だった時に実施したプロジェクトで、当時50名くらいの全メンバーを集めて、『自分がネットプロテクションズの経営者だとしたら「どんな会社でどんなことを目指していきたいのか」というビジョンやミッションを当事者として考えよう』というものでした。

結果として、全メンバーでビジョンやミッションを策定したことで、採用・研修・評価において一貫した軸ができ、そこから離職率も減って急成長したという感じですね。

どんな課題感があってそういったことを始めたんですか?

結論からいうと権限移譲です。当時、急激に人数が増えてきたという背景もあり権限移譲をしていかないと今後回らなくなるよねという話がでていました。ですが権限移譲をしようと思ってもいきなり出来る訳ではないですよね。

移譲する側の人間も不安ですし、移譲された側のメンバーも会社のビジョンやミッションから見えてくる、会社としての基準がないと、判断や意思決定が出来ない。なので、きちんとみんなで考えて策定しよう、という背景です。

逆に人数多いと意見は割れてしまうんじゃないですか?

おっしゃる通り、50名のメンバーを8つのチームに分けてビジョンを策定し、さらにそこで出た8つのアウトプットを1つに統合するという形で実施したのですが、結構苦しみました。時間もかかりましたし、喧々諤々で合宿も何回やったんだってくらい大変でした。

ですが、このおかげでネットプロテクションズらしさがある、弊社ならではのビジョンが出来たので、今では本当にやって良かったなと思っています。

話し合いに参加された50名と後から入社された方々の違いってありますか?

実はあんまりないんですよ。まさにビジョン策定がポイントになっているんですが、実は策定してから2年間で27名退職しているんですよね。一緒にビジョンを策定したメンバーの半分ということです。

ですが、残った半分のメンバーは策定したビジョンとミッションにコミットしてる状態なので、そのメンバーが中心となって新しく入社してきた方達を引っ張ってくれて。全員で一丸となって150名の組織まで拡大することができました。

組織拡大の要因はブレがなくなったこと

すごい右肩上がりですよね!

ビジョン策定前に採用した新卒は34名いたのですが、そのうち今残っているのは23.5%の8名です。ですが策定後に採用したメンバーは約90%が残ってくれているんですよね。母数は100名くらいなので100名に対して90名が残っているという状況です。

要因はやはりビジョンとミッションですか?

そうですね。やはり軸が出来たことによって採用・育成・評価の人事施策や組織の考えにブレがなくなったんです。策定後に入社したメンバーはビジョンやミッションに共感して入社してくれているので入社後の違和感がなく、結果的にはミスマッチも少なく定着もしていくという良い循環になっています。

そうすると急激に若い方が増えているという状況ですよね?

そうですね。弊社は新卒を中心に採用しているので、全体の半数以上を新卒3年目までのメンバーが占めている状態です。そうすると自ずとミドルマネジメント層が必要になってくるので、若手の中から引っ張れるであろう人物をマネージャーという役職にしていたんですけど、そこに歪みが生じてしまっていました。

例えば、明日からマネージャーお願いねと言われてマネージャーが出来るかと言ったらさすがに難しいですよね。なので、マネジメントの役割を担う前である、メンバーの内からマネジメントの意識やスキルを醸成していくという方針を会社として掲げています。

急成長に伴う課題は、負荷の偏りと心理的安全性の欠如

急成長の組織にとっては避けて通れない道ですね。

そうですね。弊社の場合、急成長の組織で出てきた課題が2つありました。

1つ目はマネジメントに負荷が寄っている状態です。若い新人メンバーが多いので当然ですよね。この状態で、すべての意思決定をマネージャーに求めることになると負荷が更に寄ってしまうので、ここは目的と状況によって決裁の有無を変えましょうということにしました。

2つ目は競争から生まれる心理的安全性の欠如です。メンバー同士成果を争い奪い合うのではなく、相互に支え合うという意識に持っていくためにマネージャー役職を廃止して組織をフラットにして心理的安全の場を醸成しました。

具体的には何をされたんですか?

一般的に評価面談というと1on1ミーティングなど月1回上司と部下が毎月の成長に向けて話し合い、その会話の中で成長も評価に含める、といったイメージだと思います。ですが私達は上司と部下で固定的に面談を実施するのではなく、毎月人を変えて面談をしていきましょうということを実施しています。

例えば、私と関わっている上位バンドのAさんと同僚のBさん、Cさん、Dさんがいたとすると1カ月目Aさんと面談、2カ月目Bさん、4カ月目Cさん、5ヶ月目Dさんと面談をし、四半期に1回は評価者と面談をするなど毎月面談者を変えていくという取組みです。面談の内容も、メンバーがどうしたら成長していくのかということを主眼に置いています。

そうすることでAさん、Bさん、Cさんからそれぞれ異なった切り口で成長に向けてのアドバイスをもらえるので、すごく参考になるという意見がもらえるんですよね。

目先の利益ではなく、遠回りでも本質を追求する

上司だけだと偏る可能性もありますしね…

またみんながお互いを評価したりされたりすることで、面談する側の立場が理解出来てくるのでメンバーから言われる一言の受け取り方も変わってくるんですよね。

面談の主旨を評価においてしまうとどうしても面談する側のパワーが大きくなってしまい、歪みが生まれてしまいます。なので、主旨を成長支援とすることで、面談される側のメンバーが主役になり、この逆転が良い環境を生み出していると思っています。

面談の時間の使い方としては素晴らしいですね!

そう言ってもらえると嬉しいですね。

あとは、『目先の利益ではなく、中長期的に本当に幸せになれることを本質的に考えていく』ということを大事にしています。例えば、営業などの現場でコンペになることがあっても安易に目先の顧客獲得のための値下げなどは基本していないです。中長期的に考えてそれが本当にWin-Winなことなのかを判断基準において、値下げをするにしても全体への波及を考え、歪みが生まれないことを確認して決断をする、というような感じです。

本当に必要なのか、本当にやるべきなのかってことですね

これは育成においても同じですね。目の前のメンバーが成長する為には、これが必要だよね!となったとしても、本当にその内容が中長期的にそのメンバーの幸せにつながるのかを考え、つながらないのであれば実施しないという選択肢も出てきます。常に中長期的目線で本当にベストな道なのかを全ての業務で捉えにいくようにしています。

まとめ

1名から150名の組織への成長を見守ってきた秋山さん。組織を成長させるために重要なことは、遠回りしても本質的な発想が大切だと言います。中長期的な視点で、本当に実施すべき施策はこの施策なのかを改めて考えることで組織のその後が大きく変わってきます。今、実施している施策は未来の何に紐づいているのか、本当にやるべきことなのかを今一度考えてみるのはいかがでしょうか。

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