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営業の先に見出す縦のキャリアと横のキャリア~ 株式会社ベーシック河村和紀さん/持田雄一さん~

今回のインタビューは株式会社ベーシックの黎明期を支えたSaaS事業部 マーケティング部 マネージャー 河村和紀さん(写真左)とSaaS事業部 セールス部 部長 持田雄一さん(写真右)です!

ともに同年代に「営業」としてキャリアをスタートさせた御二人。その後、河村さんは別の分野にキャリアを広げて今は「マーケティング」を、持田さんは「営業」畑でキャリアを積み続けています。異なる歩みのふたりに、営業スタートのキャリアの伸ばし方について話を聞きました。

目次

営業で縦のキャリアを積む持田さんと、横にキャリアを伸ばす河村さん

おふたりの、営業からはじまって今に至るまでのキャリアを教えて下さい。

持田 今回の企画でいう“縦のキャリア”を積んでいるのが私です。営業のキャリア一本で今はSaaS事業部セールス部の部長を担当しています。

営業としてのキャリアは、2008年にGMOグループの求人広告代理店からスタートしました。リクルート社の首都圏代理店の中で売上トップの会社です。当時、売上トップレベルの代理店の新卒を集めて、リクルートで1年間営業研修をするプロジェクトがありました。入社式の直後から「リクルートの持田です」と名乗って飛び込み営業をして、テレアポを1日200件。名刺を30枚交換するまで帰社できない。そんな“ドブ板営業”からはじめました。

まさに、「ザ・営業」という感じのスタートだったんですね。

持田 1年後にリーマンショックで自社がなくなり、親会社に移りました。新卒2年目にして、若手だけでSEOやウェブ広告を販売する新設部署を立ち上げました。ここでの営業手法は、中小企業の社長に電話して、一度も電話を切ることなくFAXで申込書をもらうまでを行う力業でした。

しかし、必ず達成させる気概や、数字にコミットする姿勢はとても強い組織で、多くのことを学びました。5年程コミットして働き、外の世界も知りたいと考えるようになり転職することになります。最初はアプリマーケティングをやっているベーシックの子会社に入り、そこが事業譲渡されたのでferret One立ち上げ時にベーシックへ参画したという感じです。

今はどういったお仕事をされていますか?

持田 一貫してferret Oneというサービスの営業の責任者です。商談からチームマネジメント、戦略立案までやっています。今でも現場に出て商談をしている理由は、現場に出ずにあれこれ考えてもうまくいかなかったからです。実際に現場に出てみて「なるほど、この売り方は間違っている」とわかる。マネージャーにそういう現場感覚がないと、メンバーはやりづらいです。

続いて河村さん、お願いします。

河村 持田の縦に対して私は“横のキャリア”を歩んでいます。まず営業を経験して自社イベントの運営、セミナー講師、そしてウェブマーケティング担当を経て現在はSaaS事業部マーケティング部マーケティンググループのマネージャーという立ち位置を担っています。

これまでの経歴は2007年当時バブル期だった人材業界のジェイ エイ シーリクルートメント(当時はジェイエイシージャパン)という人材紹介会社に新卒で入社しました。ジェイ エイ シーリクルートメントは金融からはじまった会社なので、金融部門が花形なんですよ。僕はそこに配属されて喜んでいたら、2008年にリーマンショックが直撃して業績不振に、僕を含む多くの同期が早期退職制度を使って辞めました。その後の求職活動で、最初に内定をいただいた会社に入ろうと決めて、それがベーシックだったんです。

河村さんも、持田さんと同じような経験をされていたんですね。

河村 そうですね!入社後は、前職の経験を生かして金融系の比較サイトの営業からサイト運営までを担当していました。その後、フランチャイズのマッチングサービスの営業担当となりました。当時は毎月10社の新規案件獲得がノルマでしたが「目標達成が当たり前」と自分に言い聞かせ、気合と根性で営業をしていました。

最初は営業の期間が長かったんですね!

河村 実はそうなんです。営業から“横にキャリア”を伸ばしたのは2012年頃からです。イベント運営のチームの立ち上げが転機でした。その後、しばらく運営側に専念していたところ「河村、営業出身だからセミナー講師できるでしょ」と社長の鶴の一声があり、運営ではなく講師としてイベント登壇が決定。幸いなことに高いアンケート評価と受注という実績までついてきて、セミナー講師をやりつつイベント運用もするようになりました。

ところがしばらくして、イベント自体が縮小。そのタイミングで、ferret Oneのマーケティング部のマネージャーに異動になりました。そこでウェブマーケターの業務を1年間やって成果を上げ、2018年7月から再度イベントに戻って、今はセミナー講師をやりながら、ウェブマーケティングの組織も見る立場という感じです。営業から、イベント運営・セミナー講師・ウェブマーケターと、横のキャリアを伸ばし続けています。

ゼロからやる面白さと裁量の大きさに魅せられて

それぞれ、縦横のキャリアを歩んでいる御二人ですが、現在の役割への熱量はどこからきているんですか?

持田 熱量という意味では事業や組織の成長をゼロから挑戦できるという部分です。ferret Oneに異動した直後は、まだほとんど整備されていなくて営業も新卒メンバー2人が見よう見まねでやっているという状態でした。

ですので事業をゼロから作り成果を上げていく面白さがありました。僕は新卒2年目の時も同じ経験をしていますが、当時はプレーヤー、今はマネージメントの立場でこの経験ができるのは貴重で面白いと思っています。

河村さんはいかがですか?

河村 僕の場合は裁量権が大きいことが影響しています。入社した時点で、WEB広告運用の経験がない僕にリスティング広告の運用費用を年間1億円持たせてくれたんですよ。本当にいろいろやらせてもらいました。

僕が出した提案も通って、ますます面白くなって。初の大型イベントを立ち上げる時も、社長に「1,000万円予算ください」と言ったらOKが出て。おかげで、「よし、やろう」とやる気満々ではじめられましたね。

それは、河村さんと社長の間に信頼関係があったからではないかと思いますが、社長と信頼関係をつくる上で意識されたことはありますか?

河村 単純に、事業部としても個人としても“達成し続ける”ということに尽きますね。「自分に与えられた業務は絶対にやり切る」ことだけは心がけました。売れていない営業の人間が「何か新しいことをしたい」と言っても、周りから信頼を得るのは難しいですよね。

どうせ、うまくいく訳がない。途中で投げ出すに違いないと。当時の僕がいたチームはイケイケだったので、本当に未達が一度もなかったんですよ。むしろ、毎月ハイ達成。達成し続けるチームという勢いがあったのも幸いでした。

夢は大きく、長く

それぞれキャリアに進んでいくうえで実現したかったことを教えて下さい。

持田 2つあります。1つは、社長に認められたかった。それが自分のスキルアップに繋がると思っています。幹部陣とのミーティングの際、僕の提案・報告に対して、視座の違いをまざまざと見せつけられる指摘やアドバイスが飛んでくるんです。社長からはよく詰められるんですが、嫌気がさすことはなくて、納得して「次こそは!」という気持ちにさせられるんです。そういったミーティングを経て未達続きだった組織が変革し、チーム達成し続けられるチームに変わっていく。

短期間では中々得られない成長感覚が訪れる瞬間が何回かあって、とてもやりがいを感じています。もう1つは、メンバーの成長です。試行錯誤しながら結果を出そうともがいていく過程では、何をやってもうまくいかない時もあります。かなり大変な思いをさせてしまった時期もあります。でも、踏ん張ってずっとついてきてくれるメンバーには感謝をするとともに、成長を実感させてあげられないと上司として失格だなと。

なので、一緒にやるからには、「あの時期があったからこそ今の自分がある」と思えるくらい濃厚な時間を過ごさせてあげたいと常に意識しています。

短期間では得られない成長感覚は“縦のキャリア”ならではですね!河村さんはいかがですか?

河村 僕が横にキャリアを伸ばしたもともとの理由は「営業の仕組み作り」をしたかったんです。月末の追い込みなど、最後の気合と根性は必要だと思っていますが、営業が最初から根性で押し通すことには疑問があります。

何百本も電話をしては断られ続け、メンタルがやられる。そうではなくて、どこの組織ももっと効率的にセールスができるはずなんです。例えば、ウェブを活用してインバウンドのお問い合わせが増えればセールスの人間は仕事をやりやすくなりますよね。

ですので今、実現したいのはferret Oneで社内の営業をより効率化して、最終的には日本全国の営業を効率化したいと考えています。

 営業はあきらめずにやり切る人、マーケティングは“算数と国語”

縦のキャリアの持田さん、横のキャリアの河村さん、それぞれに適性やスキルなどはどうお考えですか?

持田 部長としての適性は、数字がどんなにきつい時でもメンバーに対して苦しい顔をしないことですね。不安は伝わりやすいので、「大丈夫だよ」と言い続けることを意識しています。そのためには、上司の成長がカギだと思っています。メンバーは上司の背中を見てゴール設定をするので、メンバーの伸びしろは上司のレベルに左右されます。

メンバーが青天井で成長していくには、僕自身がメンバーより成長する必要があります。また、短期的な計画ではなくいかに長期的に物事を考えることができるかも大事です。これは僕自身もまだまだ課題はありますが、メンバーとは何段も違う視座での思考がないと、チームを率いることはできないと考えています。

安心感を与えるということですね。そういう上司だと部下も勇気づけられそうですね。

持田 あとは、月並みですがあきらめないことも大事です。絶対無理という局面でも、もしかしたら最終日に超大型案件がくるかもしれません。あとは神頼みしか残っていない、というところまで達成のためにやり切れる人は何事にも強いと思います。

河村 マーケティングに必要なのは“算数と国語”です。営業力にもリンクしますが、お客様の気持ちを読解して(国語)、それを計画として数字に落とし込んで(算数)、さらにそれをわかりやすく伝える能力(国語)は絶対に必要です。

営業出身だと、お客様の気持ちを読む、つかむ、言葉にまとめる現場感覚に長けているので、営業出身のマーケティングは、僕は大成すると思います。むしろ、もっと増えるべきだと思っています!

マーケティング畑の方が絶対持っておきたいマインドは?

河村 僕は「自分が信じられる“嘘”をつけ」と言っています。なぜあえて“嘘”というかというと、実施前のマーケティングは所詮、仮説に過ぎないからです。そこから僕らがお問い合わせを取ってきて、それに対して営業がセールスをかけてくれるわけです。僕らがこけたら営業もこける、ドミノ倒しです。

緻密に計算して、理詰めに理詰めを重ねて「これをやれば絶対達成する」というところまで考え抜く。内心は不安でいっぱいでも「絶対に大丈夫だ、安心しろ!」と営業には言い続ける。これはもう、完全に嘘つきの所業ですよ。まあ、仮説が外れたなと思ったら、そこから直ぐに再計算するんですけどね。笑

持田さんの持論と似ている部分がありますね。

持田 キャリア別、職種別で分けられるものではないのかもしれませんね。それぞれのキャリアに向いている人、向いていない人といっても、交わる一点はありますから。最初はどの職種に就こうがまず縦のキャリアを一定期間歩んで、その先はいろんな要因で分かれていきます。横のキャリアと縦のキャリアと分けて話してますが、実は大事なところは共通していると思います。

河村 営業マーケもですが「会社の看板を背負う」という感覚はすごく大事だと思っています。1社目は花形の金融。弊社ではフランチャイズのイベント。今はferret Oneというブランド。僕は期せずして、ずっと看板を背負わせて貰っています。後はそれに恥じないような結果を出すしかないという気持ちがずっとあります。

縦のキャリアと横のキャリアの核心は同じ

環境や思考によって縦か横か変わってきます。あとは得意分野にもよりますよね。

持田 僕は一貫して営業畑で育っていて、マーケの実務自体を徹底してやったことはありません。しかし、マーケのツールを売る以上、生々しく語らなくてはいけない。縦のキャリアであっても、幅広くいろんなことをメタ認知しながら自分の言葉で話せるというのは、河村が言った“算数と国語”に通じる話だと思います。

縦のキャリアと横のキャリアが交差する時に何を意識するといいのでしょうか。

河村 「お客様との向き合い方」と「達成するマインド」を身に着けることに尽きると思います。マーケにしても営業にしても、向き合うのはお客様のはず。リアルでもウェブ上でも、お客様との正しい向き合い方を身につけておかないと、どこにも行けないんじゃないでしょうか。

騙してでも受注してやろうとか、目先の売上のために無理やりに、という思考回路ではダメです。僕は営業で信頼の“貯金”を作っておいたから、横のキャリアを伸ばせました。目標を達成し続けて自分の“信頼残高”を高めておくことが大事です。

持田 縦のキャリアの人は、横のことを知ろうとしないときつくなります。「他の人たちは何をやってるのかな?」と興味を持ってアンテナを大きく広げないと、突き抜けるのは難しいのではないでしょうか。

アンテナをどのように広げていますか?

持田 外部の人と会うようにしていますね。同年代の人たちとSNSで交流して、食事やイベントで情報交換しています。そうしていると、クリティカルに僕らの課題が解決できる人が現れて助けてくれるということも起きます。

また、悩んでいることは割と共通しているので、刺激し合えます。中にいるだけだとガラパゴス化していきます。“独自の進化”が良い場合もありますが、往々にして悪いことのほうが多いと感じますね。

まとめ

今回は“縦のキャリア”と“横のキャリア”について話を伺いました。タイミングや職場の環境、自分自身の行動などで次のキャリアを切り開ける場合もあります。ですが、それまでにやっておかなければいけないことが沢山ありました。「目標達成」や「お客様と向き合う」などこういった経験値を蓄積し自身の信頼残高を高めていくことです。今の自分の信頼残高はどのくらいなのか。こういった点を意識していくことで、実現したいことを実現させてもらえる、会社にとっても自分にとっても良いキャリアに挑戦できるんだと思います。

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