マイナビの営業を経験後、豊田ハイシステムで新規事業を担当する大沢さん。その根幹にあるのは、営業を通じて身につけたコミュニケーションスキルとマインドだと言います。発言の「一言一句を直された」という営業時代とそこで学んだスキルについて、またそれが現職にどういかされているのかをうかがいました。
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就職活動で先輩の姿に魅了され、営業を目指した
これまでの経歴をお伺いしてよろしいでしょうか?
元々、株式会社マイナビで営業職をしていました。商材は、新卒就職採用サイトの販売になります。5年ほど勤務した後、6年目に現在の豊田ハイシステムに転職しました。担当したのは、人事1カ月、経営企画6カ月、人事2年、労務、新規事業のために他社の社長のかばん持ちをしていたこともあります。現在は営業職で、グループリーダーをしています。
最初から営業職を希望されていたのですか?
就職活動でマイナビの説明会に行ったとき、先輩社員との交流会がありまして、そこで会った先輩と「一緒に働きたい」と思ったんです。その方が営業をされていたのですが、喋りがとても上手く、「僕もこういうビジネスマンになりたい」と魅了されたんですね。それがきっかけで営業職を希望したという部分があります。「マイナビの営業をやっているからこそ、こういう人になれるんだ」と感じ、営業職として入社を希望しました。
どういったところが魅力だったのでしょうか?
質問に対する回答が、抜群に魅力的でした。喋る内容もそうなのですが、テンポや間合いもすばらしかったんです。人に合わせたコミュニケーションを取れる方でしたね。質問する人が予想する、1歩も2歩も先の回答をする。1+1は2ではなく、2以上の回答をする。自分たちが求めているものにプラスアルファをし、付加価値を付けたような回答に感動しました。
TPOに合わせて、相手を満足させられるコミュニケーションを学んだ
コミュニケーションは元々、得意でしたか?
すごく下手だったわけではないと思いますが、率先して何かを話すタイプではありませんでした。遊びのコミュニケーションはできるのですが、ビジネスコミュニケーションは全くできていませんでした。
コミュニケーションはどこで学んだのですか?
マイナビに入社後、直属の先輩にかなり鍛えられ、「こうしなさい、ああしなさい」と細かく言われていました。それが一番大きな学びの場でしたね。業務の会話はもちろん、非業務の日常の会話やプライベートの会話まで、すべてチェックされていたんです。僕が喋る一言一句、すべてに指摘をもらったと言う感じで、何かを言ったら、「いやお前、それは違うよ」と。「もっとこういう形で返しなさい」という風に、毎日何かを言われていました。当時は、それがとても嫌だったのですが、今思うと、その教えがあったからこそ、コミュニケーションをとるのが苦手じゃなくなったんだと思っています。
指摘を受ける基準はあったのでしょうか?
基準は、「面白いから良い」か、「面白くないから直しなさい」でした。面白さが必要なときに面白くない回答をするとすごく怒られましたね。真面目な会話をするシーンで、あまりにも普通なことを言い過ぎると怒られるという感じです。営業ですので、社内でユニークな返答できないと客先でもできないという考えのもと、指摘をしてくれていたようです。現在も、社長との会話をするときなど、TPOをわきまえつつ、あまり肩肘を張りすぎないことを心がけています。それによってスムーズな会話ができていると思いますが、このときの経験が生きていますね。
営業を通じ、結果を残すことの大切さと、一人でできることには限界があることを知った
その他に営業を通じて学んだことはありますか?
2つあります。ひとつは結果を残すことの大切さ。もうひとつは、1人でやれることには限界があるということです。
「結果を残すことの大切さ」について具体的に教えてください。
会社全体が営業気質でしたので、数字を残さないと評価されませんし、出世もできない。もちろん給料も上がりませんし、ボーナスも悪いという感じでした。そんな中でのし上がっていくには、結果を残すしかありません。周りにいる先輩社員を見て、常にそう感じていました。ただ、関係性としてはライバルとして競っているというより、「みんなでのし上がって行こう」という雰囲気でしたね。提案書を共有したり、わからないことがあれば教えあったりしていましたので。結局、それが自分のスキルになって、自分の知識が向上され、良い提案ができることに繋がっていました。
「1人でできることには限界がある」という点について教えてください。
1年目の後半か、2年目が始まった頃だったと思うのですが、ある地域の合同企業説明会を任せてもらいました。そのときは張り切って1人でいろいろと調整し、営業もしたのですが、結局手詰まりになってしまったんです。そうなってから、先輩社員がいろいろと裏で対処してくれて、事なきを得たということがありました。先輩社員は何も口出さずに、手詰まりになるまで見守ってくれたんですよね。そうしないと、僕の学びにならないですから。その経験があったからこそ、自分1人でやるには限界があって、足りないことや能力的にできないことは、人と相談したりお願いしたりしながらやるべきだ、ということが分かりました。
それらは、先輩や上司に恵まれていたからできたと言うことですか?
そうですね。会社にもよると思いますが、自分の直属の上司だけを上司だと思わなくてもいいのかなと思っています。私は上司に恵まれていたと思いますが、それでも、まったく違う部署の人や役職者とも話をする機会があり、そこで学んだことも多くありました。業務に直結することだけではなくて、仕事の考え方や人生感など広いことを教えていただきましたね。たとえば、どうしてもやる気がでないとき、直属の上司には言いづらいですが、違う部署の上司であれば話せるということもあると思うんです。
営業の経験は、仕事をする上で不可欠なスキル
転職後は、部署を経験されたわけですが、どのように感じてきましたか?
転々とすること自体は、あまり苦にはなりません。すべてポジティブに捉えています。ただ一方で、何に対してもプロじゃないとも感じています。採用に対してはマイナビで培ったものがあるので、プロに近いと言えるかもしれません。ですが、私自身はジェネラリストのタイプなので、労務でずっとやれるところまで持っていけなかったという点は反省しています。現在は就職活動にVRを取り入れた新規事業「VRオフィス見学」の普及に携わっています。こちらはどこでもオフィス見学ができ企業と学生の採用後のミスマッチをなくす事業ですが、次こそは今携わっている新規事業の道でプロフェッショナルになろうと思って前向きに頑張っています。
新たなプロジェクトに関わる中で、コミュニケーションをとるコツはありますか?
分からないことは、分かりそうな人に聞くということをモットーとしています。その上で、分かりそうな人がいなければ自分で調べて考えるという感じです。僕は何かを聞くことを恥ずかしいとは考えないんです。だから、新しいプロジェクトに行くときも、「大沢さんなら任せしてもいいかな」と考えてもらえるんじゃないかなと思っています。
これまでの営業の経験が、新サービスを企画する上で生かされましたか?
生かされていますね。経験上、「新しいサービスを考えなさい」と言われたときに、自分が持っている技はぜひ使うべきだと思っています。ですが、一方では、足りないところはいろいろな人を巻き込みながら作らなければならないとも思っているんです。こう考えられるのは、営業として実際に経験したことが根底にあります。さらに、もうひとつ。誰かと一緒に何かをやるときは、どうしても営業的要素が必要となります。相手と打ち合わせをしたり、コミュニケーションをとったりということは、営業をやっていたからこそ、ハードルを設けずに自然にできることだと思っています。
まとめ
「周りの人を巻き込む方が結果として成績が伸び、自分のスキルも上がっていく」と言う大沢さんは、今、新規プロジェクトにトライを続けています。その根底には、営業で培ってきたコミュニケーションスキルと、仕事に対するマインドが大きく作用しています。営業をされるている方は、ぜひ参考にしていただきたい部分と言えるでしょう。