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営業に必要なのは、創造力と想像力。正しく価値を伝えれば、経済性はついてくる ~株式会社ビットキー代表取締役最高創造責任者 寳槻昌則さん

寳槻昌則さんは高校に行かずに京大に進学。学生時代には映画監督をしたり、教育関連の事業で学生起業をしたりと個性的な道を歩んできました。卒業後は、社会人2年目にして数千人の社員の中からアメリカ事業立ち上げの責任者に任命。帰国後、株式会社ビットキーを創業し、新たな技術で新たな利便性を創造しようとしています。今回は、そんなアトラクティブな寳槻さんに、これまで歩んできた道や問題解決の考え方などを伺ってきました。

高校に行かずに京大に進学した三兄弟の末っ子

寳槻さんのご実家は、個性的な教育方針をお持ちだと伺いしましたが?

Googleで「強烈なオヤジ」と検索するとボクの親父がトップに出てきます。それほど個性的な教育方針を持っていました。三兄弟ですが、全員中学校卒業後は高校や予備校には行かず、大検を受けて京大に進学しているので、「京大三兄弟」と呼ばれていますよ。

親父は、「高校なんか行かなくていいじゃん」といった感覚を持っており、勉強法はガンガン勉強すると言うより、好きなことを見つけて追求することを大切にしていました。歴史などは小説で学び、NHKスペシャルのようなドキュメンタリー番組で科学に興味を持つといった感じです。私は三男の末っ子で、上に2人の兄弟がいましたので、むしろこれがスタンダードだと感じていました。

京大時代はどのような生活を送っていたのですか?

クリエイティブな領域に興味があり、助監督として3本の劇場公開映画に関わっています。後は、大きな話で言うと、長男と一緒に起業をしています。今の探究学舎につながるのですが、当時は教育コンテンツの開発や教育関連のWEBプラットフォームを作っていました。

効率よく学べそうだと選んだ会社で、入社2年目に巡ってきたチャンス

大学卒業後は就職をされていますが、どのような基準で会社を選びましたか?

いろいろな考え方があると思いますが、ビジネスをする上では市場を創造するとか、顧客を創造することが重要です。そのため、どこかで営業を学びたいという意識があり、大学卒業後は、株式会社ワークスアプリケーションズに入社しました。

大企業は、仕事の規模は大きいのですが、最初の10年はごく一部分のサポート業務しかできません。一方、ベンチャーはノウハウやお金がありませんから、裁量は与えられるけれども小さなビジネスをやるしかありません。こちらも結局、土台を築くのに10年程度の時間が必要となります。その意味では、ワークスアプリケーションズは理想的なサイズ感でした。創業オーナーが10年くらいかけて社員数を2千~3千人にした会社であり、裁量権も渡してもらえて、ワクワクする仕事ができるのではないか?という仮説で選びました。

社内でも目立つ存在だったとお聞きしましたが。

セールス&マーケティングという部署に配属され、企業に会計システムを販売する営業マンとなりました。1年目に売上規模が相当大きい案件を任せてもらったのですが、その提案内容が斬新だったために、社内でも割と目立つようになり、社長に名前が知られることとなりました。そして、入社2年目で「お前がアメリカに行って来い」と言われ、アメリカでの事業立ち上げを任命されることとなりました。

アメリカでは、どのような仕事をしたのでしょうか?

アメリカに駐在のポストがあるわけではなく、起業するところから始めたんです。元々、キャッチアップしていくのは得意ですし、高校時代も自由な生き方をしてきたので、そういった部分の免疫はありました。ただ、当時販売していたのは、人工知能入りの会計システム。日系企業はもちろん、アメリカ企業にも販売したのですが、IT先進国の企業に日本製のITを持って行くわけですから、その点は苦労をしましたね。「本当に動くのか?」と言った見られ方をする中で、どのようにすれば訴求できるのか?と売り方はかなり工夫しました。最初はニューヨーク、次がロサンゼルス、そして最終的には、全米50州のうち半分ぐらいは行ったと思います。

営業をする中でこだわっているのは「突破力」

寳槻さんが営業の時大切にしていたのは、どのようなことでしたか?

僕が営業をするときに、こだわっていたのは「突破力」です。決められた仕組みの中でコツコツと数字を積み上げて上げていくというセールスは、僕自身は向いていません。新しい市場を創造する、顧客を作る。つまり、ゼロからイチを生み出すことが得意なので、まさに突破力が重要であり、最も得意とすることです。

突破力がない営業マンは、どのようにすればよいとお考えでしょうか?

営業は人間同士のやり取りが重要です。そして、人にはそれぞれ個性があります。状況把握力があるかなどといったレーダーチャートは人によってまったく違うので、それぞれの自分に合ったテクニックを選んでいく方が効果につながります。逆に言えば、一概にこれをやったら営業成績が上がりますという魔法の方法みたいなものは存在しないのです。

ただ、共通するキーワードはあると思っています。

私は以前、腕利きの営業マンは口達者で、セールストークで商品をバンバン売っていくというイメージを持っていました。でも、実際に営業を担当するようになって感じたのは、売り買いというのはあくまで現象のひとつだということ。営業は、価値を正しく伝え、相手の状態を変化させるものです。これは、日本でもアメリカでも同じでした。

欲しくなかったものを欲しいと思うのもひとつですし、不安が解決してクリアになったというのもそうでしょう。セールスという英語が示すのは販売ですが、営業マンは販売員ではありません。営業とは、価値をどういう風に正しく伝えるか、相手をどういう状態に持っていくのかというもので、そこにはコミュニケーションが重要となります。そして、そのための必要なのが「そうぞう力」です。

お客が欲しているのは商品ではなく、それを通じて得られる体験

営業に必要な「そうぞう力」とは、どういったものでしょうか?

営業で重要な「そうぞう力」には2つあります。「イマジネーション(=想像)」と「クリエーション(=創造)」です。営業でより重要なのは、イマジネーションでしょう。ある言葉を放った時に、相手がどういう反応をするのかを想像する力です。

相手のバックグラウンドや人生から生まれる欲求は人それぞれです。それをきちんと汲み取った上で、どういう言葉を使えば相手にとって価値があるかを常に考える想像力がとても重要というわけです。

具体的には、どういったことでしょうか?

身近な例で言いますと、服屋の場合、ベタベタした営業で新作をやたらと勧めてくる人がいますよね。でも、お客は新作が欲しいわけじゃないことがあります。これは相手の欲求を見誤っていることになります。

さらに具体的な例をだせば、お客に「派手なピンクのネクタイを探している」と言われて、ピンクのネクタイを探すのは三流が二流になったくらいの違いしかありません。なぜなら、この客は、本当はピンクのネクタイを求めているわけではなく、それを通じて得られる体験を求めているからです。地味な自分を変えたいとか、合コンでモテたいというのが、本当に求めていること。

それであれば、「まずは靴ですよ」と言って、靴を提供するという営業になるのかもしれないですし、「そもそも散髪ですね」となるかもしれません。相手の欲求や求めている体験を営業マンの観察力と想像力を使ってくみ取ることこそ重要であり、それを提供してこそ価値が高まると言うことです。

世の中に新しい利便性を提供する。そこには営業力が欠かせない

現在はどのような事業に取り組んでいるのでしょうか?

社名でもある「ビットキー」は、デジタルのカギという意味です。簡単に言うと、新しいデジタルキー・テクノロジーで、世界中のIDや権利移転のプラットフォームを作ろうとしていて、TOBIRA BUSINESSと名付けています。

今は、スマートキー(デジタル錠)で扉の開閉を管理する技術を手がけており、LINEスタンプを送るような感覚でワンタイムキーを送りながら、セキュリティは銀行よりも高く、安全性が担保されるという技術です。

この事業にはさまざまな未来があり、GoogleがWEB検索、Amazonが本の販売からスタートしたように、将来的には多様性を持たせ、より利便性の高い世の中にしたいと考えています。とはいえ、新しい技術となるとなかなか理解が進みません。そのためには、営業で培ってきた、価値を正しく伝える力が重要となると考えています。

現在の役職が最高創造責任者となっていますが、変わっていますよね?

今回の起業は、3人でスタートしています。ひとりは、技術の要となる人物でプロジェクトマネージャーとしての経験もあったので、経営は彼に。もうひとりは、組織作りやパートナーシップなどが得意で、そこに注力しいくことになりました。そして僕は、突破力があり新規事業への取り組みが得意で、クリエイティブな領域も担当しています。顧客開拓や新たな事業を創造するための資金集めなど、さまざまなことをコネクトしていていくのがミッションなので、「創造責任者」というわけです。ノリでつけた部分もありますが、創造と言う言葉は好きですね。

最後に、営業に励む人にメッセージをお願いします。

僕はまだ若いので、あまり偉そうなことは言えませんが、目の前の売上げを追求するだけでは面白くありません。イマジネーションを持って、本当の価値をクリエイトすることが重要だと思っています。製品には価値があり、それを掘り出して価値創造ができれば、顧客も創造できるし、新しい市場も創造できるのではないでしょうか?

企業にとって経済性は重要ですが、価値を創造したら経済性は必ず付いてきます。利益追求で無理に稼いでしまうと、長期的な信用は得られませんし、罪悪感はあっても面白みはありません。営業は、可能性に溢れる職業であり、価値をクリエイトできる最終現場です。日々のノルマの中でどれだけ多く売りつけるかというのは、あまり重要ではありません。ぜひ、創造力を持って楽しんでいただきたいと思います。

まとめ

スタッフによれば、寳槻さんは「発想が豊かで、ストーリーを語って人の感情を動かす、飛び道具のような人」とのこと。年齢の若さとは反比例する豊富な経験と、そこから生まれた空気感が説得力となり、大きな魅力となっていると感じました。これからの寳槻さんの活躍にも注目していきたいと思います。

 

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