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第5回S1グランプリ優勝者 ウィルゲート吉岡さんに聞く、ソーシャルセリングを活用したPull型営業のヒケツ

 

5回目の開催となり、今回の申し込み者は1600名を超えるなど年々盛り上がりを見せるSales No.1 GrandPrix(以下:S1グランプリ)。今回2021年度 S1グランプリ優勝者である吉岡諒さんにインタビューを実施しました!

S1グランプリ出場へのきっかけや、ソーシャルセリングの第一人者としてどのようなきっかけでソーシャルセリングに注力していったのか?についてお話を伺いました。

 


プロフィール

株式会社ウィルゲート 専務取締役COO・共同創業者 吉岡 諒

1986年岡山生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。代表取締役小島と共に2006年に株式会社ウィルゲートを設立。個人として累計で3,000社のWebマーケティングの課題解決提案を実施。2012年に記事作成「サグーワークス」、2014年にメディア「暮らしニスタ」、2018年にはSEOのAIツール「TACT SEO」、2019年にはオンラインで編集チームが作れる「エディトル」、M&A仲介支援サービス「Willgate M&A」をリリース。2021年はSNSを活用した営業支援「ソーシャルセリング」を開始。COOとして全サービスの管掌役員を務める。


 

 

これまでの経歴を教えて下さい

2005年3月3日に高校を卒業し、その3日後には幼馴染で親友の小島(現ウィルゲート代表)とお年玉貯金を使って起業をしました。
現在35歳ですので18歳からの約17年起業家として活動をしているという状況です。

会社では、専務取締役兼共同創業者として、ウィルゲートが展開している事業の全般の売り上げを私が責任を負っています。
具体的には、IT・Web特化のM&A仲介事業とソーシャルセリングの2つの新規事業の立ち上げ・担当役員を行いつつ、2020年4月から広報担当役員。
2021年3月から中途採用の担当役員も担っております。ウィルゲート自体は現在16期目、社員数は160人ほどです。

 

高校卒業3日後に起業、そのきっかけはなんですか?

大きく分けて2つの理由があります。
1つ目は、小学校1年生から親友の小島(株式会社ウィルゲート代表取締役社長)が「一緒に起業しようよ」と誘ってくれたこと。
2つ目は、高校1年のときに病気で父を亡くしたことですね。母親に苦労をかけることもできず「大学1年までは私があなたの生活を保障するけど、大学2年以降は頑張って生きていきなさい」という状況だったので、いわゆる花のキャンパスライフを過ごす余裕がありませんでした。

また、受験生当時は東京大学を夢見て勉強を頑張っていたのですが残念ながら落ちてしまったんですね。ですので、落ちた分のこの悔しい気持ちをすべて会社、仕事におきかえようと気持ちを切り替えました
受験では第一志望にいけませんでしたが、仕事で成功できたら人生において他の人と大きな差をつけることができるんじゃないか、というある種負け犬根性もあって仕事を本気で頑張ろうと18歳ながらに決意をしました。

 

ウィルゲートの事業内容について、教えてください

ウィルゲートでは創業以来SEOを中心とした「コンテンツマーケティング支援」事業を行ってきました。そこを屋台骨として、現在では「コンテンツマーケティング支援」「B2Bマーケティング支援」「M&A仲介支援」と大きく3つのサービスを展開しています。
おかげさまで現在では、「コンテンツマーケティング支援」の事業で累計約6,600社の顧客基盤があります。
売り上げ構成比でみますとコンテンツマーケティング支援のうちSEO事業の売上が50%、記事作成事業、BtoBマーケティング支援事業、M&A仲介事業が残りの半分という売り上げ構成比になっています。

人は増えども売上上がらずのウィルゲートショック、どのように乗り越えましたか?

創業2期目に社員5名ほどの状態でエンジェル投資家から1億円の資金調達をして、社員数を一気に30人まで増やしました。
当時は最年少上場するんだー!と若気の至りで意気込んでいたのを覚えています。
ですが、当時のウィルゲートでは自分たちのマネジメント力・経営理念が表面的なものになっており、かつ、スキルマッチのみで採用してしまっていました。
その結果、社員を増やしたのにも関わらず売上が伸びず、5期目には10人まで縮小してしまいました。

私たちはこれをウィルゲートショックと呼んでいるのですが、このウィルゲートショックがあったことによって行動指針・理念を改めて定め直すことができました。そしてその価値観や理念・思いに共感してくれる人が増えて今にいたっています。

 

ウィルゲートショックを経て、営業組織はどのように変遷していったのですか?

お恥ずかしい話ですが、当時のウィルゲートは営業1人当たりの生産性(粗利額)が月30万円ほどしかなく、その人の給料や固定費をいれると大赤字だったんです。
現状の1人あたりの生産性(粗利額)が月700万円前後ですので、結果的に2,300%の営業生産性改善に成功しています。また、当時は90人中30人が新規営業だったのですが、今は160人中営業が10人と少数精鋭化しています。

また、フェーズとしては立ち上げ初期、効率化模索、業務最適化と区分けできると考えています。
立ち上げ初期はテレアポのリストを各人が作っていて、当時は本当にご迷惑おかけしましたが、同じ会社に1日何回もテレアポをかけてしまう・・・など、属人的・場当たり的な営業をしていました。ノウハウが組織知にならないことが多くあったので、各人の役割分担を明確化し、いわゆる「THE MODEL型」の組織に転換しました。
効率化模索期には営業ターゲット整理ができておらず、ターゲットを定めずに営業をしていました。立ち上げ期でビジネスプロセスの改善は進んだものの、営業ターゲットを定めていないため生産性が低かったんです。
現在では、立ち上げ初期と効率化模索期の反省を活かし、自社がどういった状態であれば得意案件なのか?という形で、顧客ニーズや顧客のプロダクトの条件、顧客がベンダーに求める要件はなにか?を整理し、ウィルゲートが選ばれる条件をすべて言語化して、まとめています。
さらに元々、ウィルゲートではリスト作成から受注後のコンサルティングの全ての工程を1人でやっていたのですが、その体制だと1人立ちするまでに2年半はかかっていました。

しかし、マーケティングからインサイドセールス、フィールドセールスからカスタマーサクセスといったような形で縦切りをすることによって、3か月~半年で各部門が1人立ちできるようになっていきました。

 

営業組織の業務最適化について、営業組織の具体的な取り組みを教えてください

ここで、多くの企業さんにドキッとする質問を投げたいと思います。

「あなたの得意顧客・苦手顧客はなんですか?」

ウィルゲートではこのように、顧客ニーズや顧客のプロダクトの条件・顧客がベンダーに求める要件はなにか?を整理し、ウィルゲートが選ばれる条件をすべて言語化しています。
その上で得意案件と不得意案件で分けているのですが、得意案件と定義している案件は目標受注率が70%、苦手案件であれば10%前後で設定しており、この時点ですでに受注率は7倍違ってきますよね。

仮に営業パーソンが10人いて、一人当たり月20商談をする場合は単純計算で月200商談をすることになります。この200商談を、すべて得意案件で埋め尽くすことができれば月に140社受注可能になりますし、この200商談がすべて不得意案件になると、目標受注率が10%なので20社しか受注できない、となってしまいます。
少し前までは不得意案件であっても「お客様からお問い合わせをいただいたから」と一生懸命資料を作って提案していたのですが、そこから改革をして「今回お問い合わせいただきありがとうございます。今回の件につきましては、ウィルゲートより良い企業様がいらっしゃるのでご提案は辞退させていただきます。」と、あえてお断りをすることを徹底しています。ここが多くの企業様との違いであると思っていまして、これができるようになったのがウィルゲートが飛躍しはじめたきっかけであると思っています。

さらに現在ではもう1段階進化していまして、実は営業担当ごとにどの提案タイプが得意なのか?ということもデータで蓄積しています。
あくまでこの表ではウィルゲートを主語にした得意・不得意にはなるのですが、ここに「人軸」をいれて、このパターンは誰が強いのか?というようなデータをまとめて、そのデータを案件ごとにマッチングさせています。ここまでいくと、さらに受注率をあげていくことができますし、商談機会の損失を減らすことにもつながっていきます。

 

 

S1グランプリに出場を決められたのはなぜですか?

出場を決意した経緯は2つあります。
1つ目は営業には無限のキャリアの可能性があるということを知って欲しいと思ったからです。世の中の風潮として、「営業よりマーケターが格好いい」とか「営業よりコンサルタントが格好いい」とか、そういう意見があると思っています。個人的には、営業は専門職だと思っていますし、企業内の他職種と比較してとても輝けるポジションであるのにも関わらず、不人気職種になっているのが淋しいと感じています。
私自身、営業が大好きですし、営業で培ったスキルが新規事業立ち上げや、広報・PRにとても役立っていると思っています。また、コミュニケーション力や伝達力は採用にも活かしているので、まさにCOOとして様々な事業の責任を負いながらも採用や広報、新規事業をやれているのは営業で培った力のおかげだと思っています。

ただ世の中には、営業ができると、ひたすら営業ばかりやらされてしまうという方もいます。そうなると、新規事業や、営業以外のポジションに挑戦できずに、営業しかできない人になってしまいます。その結果、キャリアが閉ざされてしまうという、’負のスパイラル’に入ってしまうケースがよくあります。その負のスパイラスに入る前に、「営業ってこんなキャリアがあるんだよ」という可能性を知って欲しい、そんな思いがありました。

2つ目は、「ソーシャルセリングを広めることで、日本全体の営業の生産性向上に寄与したかった」からです。
私自身、ソーシャルセリングを活用することで営業生産性があがり、こちらから提案をしなくてもPull型の営業スタイルを実現できました。そしてそのおかげで新規事業や広報・採用活動を行う時間を確保できるようになりました。この体験を世の中に広げることで、営業職の方々の生産性を上げたいと思っています。そうすることで、営業職の方々が様々なことにチャレンジできるようになり、素敵なプロダクトが世の中にあふれ、結果的に日本全体の生産性が向上すると信じています。

 

ソーシャルセリングに目を付けられたのは、なぜですか?

きっかけは、忘れもしない2019年1月3日です。当時、自社の「暮らしニスタ」というメディアのSEOが絶好調だったので、Facebookにノウハウのセミナー動画の投稿をしてみたところ、その1投稿で279名の購入希望者が現れたんです。

またその後、このような形式(※上記画像)で複数回投稿したところ、5,000円のセミナー動画を641名の方に購入いただき、50件(約8%)の方から「ウィルゲートさんに相談したい」とお問い合わせをいただくことに成功しました。

この投稿を例に挙げると、100分間の動画を641人が見てくださったので、641人×100分、64,000分の時間を「動画の吉岡諒」が担ってくれたということになります。それまでは展示会で1,000万円、営業パーソンも8人かけて作っていた受注粗利が1,500万円程でしたので、明らかにソーシャルセリングのパフォーマンスがすごいなと、魅了されてしまいました。これ以降は、ソーシャルセリングにドハマりしてしまいましたね。

 

ソーシャルセリングの「メリット」はなんですか?

1つ目は出会いを資産にし、Pull型営業へ転換できることです。世の中の営業パーソンは、いわゆる「マッチ売りの少女」のように「これほしい人いませんか?」という探客活動にとても多くの時間を費やしていると思うのですが、その活動はとても無駄が多いと感じています。ですので、困ったときに相手から相談がもらえるPull型営業へ転換していくことは営業としての至上命題であると思っています。
商談ではせっかく1回60分をつかったのにも関わらず、その後時間が経ったら赤の他人状態になってしまうからです。SNSでつながってさえいれば、2年前にお会いしたきりの方からも「欲しいタイミングで」お問い合わせをいただけるケースがあります。

2つ目は、繋がりを活かしてお客様に貢献することができる点です。この場合、「○○に観点ですごいオススメな○○なプロダクトがあります。ご興味あればご紹介します」という1投稿をすることによって257社を紹介できた事例もありますので、お客様にも圧倒的なGIVEが可能になる、というのがメリットになります。

ソーシャルセリングの失敗談はありますか?

正直失敗はないですが、あえて言うのであれば、SNSの投稿に反応が少ないことが失敗になるとは思います。
しかし、失敗したところで投稿の作成にかかった5分間という時間が失われるだけですので大した失敗ではないですよね。むしろ「これには反応がないんだ」と、効果がないことがわかるのでプラスとすら思っています。

投稿に対して「反応が来なかったら怖い」とか「恥ずかしい」という人は世の中非常に多くいらっしゃいます。しかし、今はそういう時代ではないんです。自ら情報発信をしていくことができなければ、このコロナ時代のニューセールスにはなれないんです。SNSで1対nでコミュニケーションをとっていくことや、動画を使って1対nで「自分を分身させて情報を届けていける人」でなければ、結局一基一戦にしかなりません。ですので、効果が薄かったとしても失敗にはならないと考えています。

 

ソーシャルセリングで注意すべき点はありますか?

注意すべき点は、時間が奪われることですかね。私の場合1ヶ月にTwitter で約30時間、Facebookで約40時間、FacebookMessengerで約55時間使っています。通知の量も多く、1日あたり600通前後も来ています。営業成果と紐付いているのでいいのですが、TwitterとFacebookで月間70時間程使ってしまっています。仮に月に200時間働くとすると、TwitterとFacebookだけで3割程の工数を使っている計算です。3割も使って成果出せなかったらやばいですよね?(笑)

SNSはあくまで積み重ねでして、私はSNSが流行する前からの17年間の積み重ねの上でこの活用方法をしているので最初からこの運用を目指すのは危険です。ではどう運用すればいいのか?となると思いますが、「1分の1吉岡はつくれなくても、10分の1吉岡は量産できる」と考えています。

現在ウィルゲートでは社員の3分の1の50人がSNSに取り組んでいます。私のフォロワー数は約2万人ですが、フォロワー数1,000超、2,000人超は量産ができています。ですので、組織全体でソーシャルセリングに取り組めば、吉岡に近しいパフォーマンスに近づけていけるのではと考えています。

 

ソーシャルセリングに注力していきたいと思う営業パーソンにメッセージをお願いします。

私は、このニューノーマルの時代で最も輝けるチャンスが増えるのは営業パーソンであると思っています。私の場合は月に200アポ程、多い日で1日15アポくらい入っているのですが、これはコロナ以前ではあり得ないことですよね。実際、コロナ以前では4件、5件ほどのアポイント数であったかと思います。

ターゲットやプロダクトが良い前提でしたら、営業成果は行動量に紐づくので1日15アポこなせると、約3倍の成果が出せるということにもなります。となると、極端な意見ですが、報酬も3倍になってもおかしくはないのではないでしょうか。

以前は商談も「わざわざお越しいただいたのに15分で帰っていただくのは申し訳ない」と無駄に60分を使っていたところを、いまではいい意味で要件だけで終わらせることができるようになってきているので、コロナによって1番時間の使い方が変わった職種であると思っています。

そんな状況の中、リード獲得の部分でソーシャルセリングを活用することによって、1日に15件のアポイントも実現できると思っています。是非ソーシャルセリングを使いこなし、他の営業パーソンとの差をつけていってほしいです。また、SNSで繋がっていることによって新規事業の立ち上げにもつながりますし、人との繋がりは広報力やリファラル力にも繋がります。ソーシャルセリングを「セリング」で留めずに、広報や採用、新規事業に活かし、キャリアとしても更に輝いてほしいと思っています。

 

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