営業職はさまざまな職種の中でも、会社の売上に直結することが多く、いわば「花形」ともいわれる職種です。今回は20代で営業職に転職したいと考える方向けに、営業職の基礎と転職しやすい営業の種類についてご紹介します。
目次
転職の仕掛け時は20代前半!
一般的に未経験の職種にチャレンジしたいのであれば、そのリミットは25歳までといわれています。未経験者に業務内容をイチから教えることを考えると、成長意欲や伸びしろを考え、できるだけ若い人材を獲得したいと考える企業が多いためです。
25歳を超えたら、絶対に転職できないというわけではありませんが、24歳の未経験者と32歳の未経験者を比べたときに、前者を獲得しようとする企業のほうが圧倒的に多いことは、一目瞭然でしょう。
求人を見る前に知っておきたい営業の基礎
今は営業職以外の職種についている方は、営業について漠然とした憧れはあったとしても、具体的にどのような仕事をしていて、何をミッションにしているのか具体的に理解できていないケースが大半でしょう。
営業職は誰に対して営業活動を行うのか、また、何を売り込んだり提案したりするのかによって仕事内容やミッションが大きく異なります。そのため、事前に面接を受ける企業の細かな概要や事業内容について正しく理解していないと、思い描いていた転職後の生活とミスマッチが起こる可能性があります。
また、未経験者でも活躍しやすい営業と、たくさんの努力が必要な営業があるため、事前に営業という仕事について理解を深めておくことが重要です。では、さっそく営業職という仕事について詳しくみていきましょう。
1.対法人と対個人
誰に対して営業活動を行うのかについては大きく分けて、会社に行うのか、それとも個人に行うのかという2つのパターンがあります。対法人、つまり企業間取引のことを「Business to Business」を略しBtoB、対個人のことを「Business to Consumer」を略しBtoCと表すのが一般的です。そのため、実生活で接する自動車のセールスやインターネットの営業はすべてBtoCということが分かります。
この他、「Business to Goverment」、つまり公的機関向けの営業職をBtoGと示すこともあります。しかし、企業向けのビジネスを展開している多くの企業では、公的機関に対しても一般企業に対しても営業活動を行うことが多いため、わざわざBtoBとBtoCを分けて記載する企業は少なく、BtoCかBtoBのみで分けて考えるケースが多いです。
2.無形商材と有形商材
営業というとモノを売り込む人というイメージがありますが、その「モノ」が常に目に見えるものだけとは限りません。営業職が扱う商材は大きく分けて、手に取ることができる有形商材とそうではない無形商材があります。
有形商材の例としては自動車、マンション、一軒家、電化製品、食品などが挙げられます。定義としては手に取って触れることができるかどうかということなので、コピー用紙やガラスなどの素材や、ネジやボルトなど細かな部品も有形商材に含まれます。
対して、無形商材は「サービス」といえばイメージがつきやすいでしょうか。インターネットサービスなどは、サービスを利用するのに欠かせないモデムを見たり、資料など文章で仕組みを説明したりすることはできても「これがそのサービスです」とサービスそのものを肉眼で見ることはできません。
このほか、コンサルティングや研修、人材紹介や広告サービスなども無形商材として扱われます。
このように営業職は法人に対して働きかけるのか、それとも個人に対して働きかけるのか、そして無形商材を扱うのか、有形商材を扱うのか、その組み合わせによって大きく4つに分けることができます。それぞれの例は以下の通りです。
対法人×無形商材…研修サービスの提案、オフィス環境構築の提案、WEBコンテンツ作成の提案など
対法人×有形商材…メーカーの営業、部品の営業、商社の営業など
対個人×無形商材…インターネットサービスの提案、保険や証券などの提案など
対個人×有形商材…不動産売買、新聞購読の提案など
営業未経験者に進めたいのは「対法人×無形商材」
営業と一言で言っても、誰に対してアプローチするのか、何を扱うのかによって4つの種類に分けることができます。では、20代で営業に初めて挑戦しようとしている転職者にはどのような営業のタイプが向いているというのでしょうか。
結論から言うと、おすすめしたいのは対法人×無形商材の営業職です。理由は、未経験でも採用されやすいためです。
大手企業の調査によると、職種未経験で転職活動をしている人のほとんどが、営業職または事務職に転職しているという結果が出ています。しかし、事務職は営業職に比べ、派遣社員や契約社員、アルバイト・パートの案件が多く、正社員案件自体が少ないという傾向があります。そのため、必然的に未経験で挑戦するなら営業職が多いというわけです。
また、扱う商材にもよりますが、対法人の営業職を経験している人材は対個人の営業職を経験している人材よりも転職市場において高く評価されるケースが多いようです。そのため、給与や年収レンジが高くなりやすいというメリットがあります。
年収レンジが上がる分、仕事の難易度としては高度になることが多いです。また、有形商材に比べ、無形商材の営業はアフターフォローやサービスの細かな説明などきめ細やかな対応が求められるため、この点を比べてみても業務を通して求められるスキルは上がります。
しかし、その分、高度なスキルを身につけることができるということも言えます。そのため、そのまま同じ企業で働き続けたとしても、数年後に転職したとしても高スキルを持つ人材と認められ、昇給や好待遇での転職が見込めるでしょう。
営業経験者が転職前に身に着けたいスキル
営業未経験の場合は、20代前半までに転職活動を開始しないと、転職活動を成功させること自体難しくなってしまいます。しかし、すでに営業職として何らかの企業に勤めているのであれば話は別です。一般的に同じ職種間での転職は30代に入る前であれば成功しやすいといわれています。
しかし、名ばかりの営業で、それに伴うスキルが身についていなければ転職活動を成功させることは難しいでしょう。では、営業経験者が転職を成功させるためにはどのようなスキルを身に着けておけばよいのでしょうか。
1.+αの提案力
なぜ、企業はモノを売るのにシステムではなく人を介そうとするのでしょうか。それは、「その人だから売れた」という営業の存在価値があると認めているからです。
しかし、単に顧客から求められたものだけを提案・販売するのであれば、システムを導入するコストを掛けたほうがマシと考える経営者も出てくるでしょう。「その人だから売れた」、つまり顧客の潜在ニーズを掘り起こす+αの提案力があり、利益を最大化させる工夫ができる人材が求められています。
2.仕事のPDCAを回す
これは提案力と同じことですが、言われたことだけを正確にこなすのであれば「その人だから」という価値にはつながりません。日々の業務の中から課題を見つけ、どのようにパフォーマンスを上げるべきか。さらに、具体的にどのような改善策を実施し、評価されたのかという仕事のPDCAを回してきたという経験をしっかりアピールすることが重要です。
3.上司や同僚を巻き込み組織として結果を出す
利益の最大化を考えるのであれば、個人のパフォーマンスを向上させるよりも、上司や同僚を巻き込み、組織として結果を出すべきです。マネジメント経験が必ず必要というわけではありません。しかし、役職がついていなかったとしても、組織として結果を出すためにどのような働きかけをしたのかは企業が人材を選ぶ重要なポイントになります。
まとめ
営業職に転職したいという想いがあるなら、もっとも売り手市場といわれている20代前半までに仕掛けるべきです。
未経験からチャレンジする場合は、対法人×無形商材の営業が活躍しやすいといわれています。
営業経験者が転職する場合は、今いる会社で実績を残し、何らかの強みを持っていた方が良いでしょう。