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18年間のインサイドセールス経験を通じて学んだことを伝えたい。意味と成果とモチベーション~グローバルインサイト合同会社 創設者兼CEO 水嶋玲以仁さん~

(写真左:水嶋玲以仁さん / 写真右:インタビュアー 今井晶也)

(写真左:水嶋玲以仁さん / 写真右:インタビュアー 今井晶也)

世界有数のIT企業であるDELLやマイクロソフト、Googleにて18年にも及ぶインサイドセールスの実務全般の経験を持つ水嶋玲以仁さん。BtoB、BtoC双方のインサイドセールスひいては営業チームの発展と管理業務に携わってきました。今回の取材では、インサイドセールスとの出会いから実務経験を通じて必要だった能力や、これからインサイドセールスを通じて実現したい世界観を伺ってきました。

目次

インサイドセールスに出会って感じた斬新さ

水嶋さんとインサイドセールスとの出会いはいつですか?

DELLでの出会いが一番初めです。DELLではインバウンドが中心のインサイドセールスを行っていました。

インサイドセールスと出会って斬新だと感じたのは

  • ・チームで営業をするという考え方
  • ・お客様に優先順位をつけ、営業がプログラム化されていること

この2点ですね。この、DELLで学んだインサイドセールスのベースは今でも活きています。

思い起こしてみると、当時はインサイドセールスという言葉はまだ日本にはありませんでした。後になってセールフォースが日本に参入してCRMやファネル管理を結びつけて行うTHE MODELの文化が広がり始めたという感じですね。

流行りにのって安易にはじめると何もうまくいかない

インサイドセールスを取り入れている企業が増えてきた実感はありますか?

そうですね。関心を持っている企業や取り入れている企業が増えてきたのは実感としてあります。以前、『インサイドセールス究極の営業術』という本を出版したのですが、いまだに売れ続けているというところでも実感が湧いています。

ビジネス書は基本的に最初に売れて徐々に売れなくなっていくというのが通常の流れですが、それだけ関心が広まっているということなのかな、と思います。

国内の企業がインサイドセールスをもっと活用していくための課題はありますか?

世間的に流行っているからといって、安易に始めるとうまくいかないことが多いんです。そうなってしまうと、スタートしたとしても安易にやっぱりやめようという判断になってしまいがちなんですよね。

実際、インサイドセールスを導入したという企業も、蓋を開けてみると今までのテレアポと変わらない形で導入しているケースが多いんです。そのことに危機感を覚えています。ざっくりと説明すると、インサイドセールスをとり入れるということは、マーケティングやセールスの仕組みの非効率な部分を見直して分業の仕組みを敷くということなんですよね。

実は、インサイドセールス導入は、営業ではなくマーケティングの方が主導で進めることが多いんです。なぜかというと、マーケチームはマーケティング活動において、お客様から引き合いが来ているのに営業がフォローしてくれないのが問題だと考えているからです。

そしてその問題は、インサイドセールスを取り入れれば解決するらしいと考えているんです。いわゆる”マーケとセールスの溝”ですね。インサイドセールスがこの溝を埋めてくれると期待するんです。しかし、この発想でインサイドセールスを導入してもうまくいきません。

本当に考えるべきは何故、引き合いがきているのに対応してくれないのかということです。根本的原因を見つけないと本当にやるべきことが分からないんです。しかもこういった問題は、往々にしてセールスファネルの一連の中で改善していかなくてはいけないので、インサイドセールスを取り入れただけでは上手くいかないんです。

分業でありながらも、セールスファネルの一連の流れの中で成果をあげるために改善をしていかなければいけない訳ですね。

分業の仕組みを入れると非効率が解消される可能性があるということですが、どのような見解で解消されるとお考えですか?

プロセスの一部のみを担うことによって、そのプロセスに集中することができます。そうすると、精度・スキルが上がるので成約率も上がっていくんです。ですが、もちろん分業制にもリスクはあります。

全て自身で行うわけではないので、担当者間でのコミュニケーションミスが発生します。パスを回した時に受け手側の理解が低ければ精度も下がってしまう。分業制はそのあたりもうまくデザインしなければ、逆に効率を落としてしまう可能性もあるんです。

インサイドセールスのモチベーションが低下するまで

1つのプロセスのみに集中させることでモチベーションに影響はしないですか?

人が働くことの喜びは、大きく分けると3つだと考えています。

  • ・上司や同僚から承認されること
  • ・お客様が成功して感謝されること
  • ・自身のキャリアにつながっていること

これはインサイドセールスだろうが、フィールドセールスだろうが関係なくて、どんな仕事でも同じ壁にぶつかるんです。毎日毎日同じ仕事しかないと創造性も減るので、やる気もなくなりますよね。きちんとした分析もなくインサイドセールスを導入すると、この3つの喜びを感じることができないんですね。

良くあるのが、こんなモチベーション低下の流れです。

  • ・そもそも、マネジメントサイドが何のためにやっているのかを理解してない
  • ・故に正当に評価できる人がいない
  • ・プレイヤーは正しいやり方が分からないので成果がでない
  • ・結局、リスト渡すだけのアウトバウンド営業で疲弊してしまう

こういう状況で放っておかれると、どこの現場のどんな人でもモチベーションは低下しますよね。ですので、特にマネジメントサイドは何のためにインサイドセールスを始めるのかという目的をしっかり持つことは本当に重要なんです。

水嶋さんが見てきた中でISに成功している組織とそうでない組織の差はそこですかね?

先ほどから述べている通り、ゴールを定めないで流行りものだからということで導入すると失敗します。成功している会社はマーケ、インサイドセールス、フィールドセールスが一体となって動いている企業ですね。そういう企業は、そもそも働いている人のモチベーションが高いですし、ビジネスそのものもすごい勢いでドライブがかかっています。

それに比例して社員の皆様のビジネススキルも成長する、という良い循環が起きています。今は成功する会社失敗する会社が両極端になっている印象ですね。

つまり、インサイドセールスを導入すれば、リードをフォローすることでCVRが向上して売上も上がる。フィールドセールスにとっても役に立つ役割だということを理解してもらって導入することが必要なんです。そのコンセンサスが取れていないと、マーケティングチームがまた勝手に何かやってるよと捉えられてしまい連携なんてできないんです。

インサイドセールスプレイヤーに求められる素質

インサイドセールスを成功させるプレイヤーの要素は何かありますか?

理想は仕組みを作れる人ですよね。どうしたら仕組みを作れるのかでいうと、分析する力を持ち合わせている人と細かい改善提案ができてうまくいったことを共有できる人ですね。そして忘れてはいけないのがコミュニケーションをうまく取れる人です。チームプレーなので、マーケティングやセールスときちんとコミュニケーション出来る人が良いですね。

全部自分でやるよ!という人ではうまくいきません。周囲との関係をうまく活用していかないといけないですし、ホットリードになり得る良いアポイントをとるためには、セールスと忍耐強くコミュニケーションをとっていく必要があるんです。

働き方としても労働人口も減っていますから、新しい働き方としても広がると良いですよね。

そうですね。事実insidesales.comの調査によるとフィールドセールスとインサイドセールスの違いがなくなってきているそうです。

というのもフィールドセールスの仕事のうち43%はインサイドセールスと同じ仕事なんだそうです。例えば、メールを送ったり、電話やWEB会議システムを使ってリモートでミーティングしたりなどです。インサイドセールスとほとんど変わらないですよね。

解決したい国内中小企業の経営者の悩み

これからインサイドセールスを通じて実現したい世界観や展望などはありますか?

今日本では、インサイドセールスを導入したいという大手企業が多いんです。この機会に、営業組織が大きくて影響力が強い会社がインサイドセールスを導入して、これだけ成長したよっていう成功モデルを作りたいですね。

そして、最終的には営業の人材不足や営業力不足で悩んでいる日本の中小企業を変えていきたいと思っています。ですが私だけでは難しいので影響力のある企業に協力を仰いで仕組みとして、働きやすい・働き甲斐があるそんな環境を用意できるような取り組みをしていきたいと思っています。

まとめ

ゴールを明確にすること、それにあわせたタイムライン、最初に設定したことを死守するのではなく柔軟性を持って変えていくことが大事だと語る水嶋さん。仕組みを変えれば何かの成果は出ると信じて、まずは1度始めてみましょう。ですが安易に始めることはおすすめしませんのでしっかり目的意識をもって進めていきましょう。

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