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コロナ禍における営業活動の成功のカギはインサイドセールスの拡張~株式会社インターパーク高井伸さん~

ウィズコロナ時代、多くの課題が山積みの企業が多い中「僕たちが持っている解決策やナレッジは営利非営利問わず市場でシェアし、みんなで打開していきたい。」そうおっしゃるのは株式会社インターパーク取締役COOの高井伸さん。

BtoBマーケティングの理論を応用したTwitterフォロワーの増やし方等、価値の高い情報を発信し続け、Twitterのフォロワー数は現在7400名を突破。このコロナ禍でもいち早く営業やマーケティングの課題解決に向けて情報発信をされています。そんな高井さんに、明日から取り組めるコロナ禍における営業活動の成功のカギをお伺いました。

BtoC領域で起業、BtoBコンサルティング事業の立ち上げも

高井さんのこれまでの経歴を教えてください。

今はB2Bのマーケティングや営業現場で活用されるCRM(顧客関係管理)、SFA(営業支援システム)、MA(マーケティングオートメーション)ツール「クラウドサービスサスケ」という製品メーカーの株式会社インターパークの取締役とCOOをしています。

10年ほど前に飲食店向けのメディア事業で起業しました。そのプロダクト自体は1年くらいで軍資金が底を尽き、クローズになりました。その時の借金もあり、働かなきゃいけないので、チームを解散してフリーランスでコンサルティングをはじめたんです。経営・マーケティング・PRのコンサルティングから、営業代行のような実務などとにかくなんでもやっていましたね。

そして2015年に、顧客だったインターパークに取締役COOとして専属で正式にジョインしたという経歴です。最近では、ツールベンダーとしてだけでなく「サスケ」の実績を土台にしてコンサルティング事業も立ち上げました。

その文脈でTwitterやnoteで情報発信をしています。

営業組織の成功のカギは、インサイドセールスの拡張

客観的に見て、コロナ禍の営業組織はどんな状況に見えますか?

オンラインへの移行に手こずっている印象です。

これまで高井さんに寄せられた相談で多かった課題や、重点的に解決しないといけないと思った課題を教えてください。

課題は「オンライン上の商談をどうするか」にあります。そもそもネットワーク環境がない、zoomの使い方が分からないなど、オンライン化するための知識がない状況にある人もいるわけです。また、リテラシーが高くても「クロージングができない」という問題が浮き彫りになっています。

このボトルネックは「コミュニケーションの質の定義」だと考えています。つまり、オフラインとオンラインのコミュニケーションは別物ということです。対面営業だとコミュニケーションを深く掘れますが、オンラインの場合だと浅く広くなんですよね。その特長を踏まえた営業活動を考えていく必要があると考えています。

このコロナ禍で発生した多くの営業課題のうち、どういったところから着手しようと思われていますか?

「インサイドセールスだけでどうやって受注まで持っていくか」といった仕組みを、個社ごとに対してインストールしていく所からですね。

1年くらい経てば、営業活動におけるオンライン商談と対面営業の比率は半々くらいになるのではないかなと思っています。各々機能も定義されて、商材単価や、物理的距離、受注の見込み具合などに応じて、リアルとオンラインが使い分けられる営業が加速していくと思います。

ただそれを待つのは楽観的で、少なくとも半年ぐらいこの状況が継続すると想定して準備を進めるべきだと思います。なので、どういう業態であれ、早いうちにオンライン商談のやり方を確立していかないといけない、と考えています。

インサイドセールスが拡張していくというのは、具体的にどういった形式になりそうですか?

ビフォーコロナのインサイドセールスは、マーケティングの一機能のような感じでした。具体的には、マーケティングで集めたリードに対して、メールや電話で良質なアポイントを供給する役割です。

これが、ウィズコロナではインサイドセールスもフィールドセールスもオンライン商談をしています。ですので、部門として別れてはいますが、役割をあまり分担しない。例えば、アポイント取るところから商談まで一人でやるような形式です。

弊社での変化は、今まで1回の商談でおこなっていたものを、2回に分けています。もちろんこのやり方で商談をスタートするということは、お客さんにも事前に説明しています。

具体的には、アポイントを取った時点で資料を送付し、商談の前に目を通してもらいます。そのうえで1回目の商談ではヒアリングと基本説明をします。

この1回目の商談の際、必ず分からないことがないか聞き、2回目の商談では、顧客の分からなかったことベースで話します。オフラインであれば、会えば1回で全部できたことです。しかし、オンラインでは浅く広くしかコミュニケーションを取れないので、その代わりにタッチポイントを増やしています。

自社だけでなく顧客の状況も理解し、ベストなアクションを追及していく

オンラインになると浅く広くなってしまうのは何が原因でしょうか?

2つ考えられると思います。

1つは、温度感が伝わりにくいこと。いわゆる営業のコミュニケーション術といったものはオンラインでは使いにくいです。ですので、コミュニケーションを研究するより、「コミュニケーションを分解する」といった仕組みで代替えするアプローチのほうが手っ取り早いと思います。

2つ目は、クロージングしづらいことです。これは2つの視点を持ったほうが良いと思っていて、営業する側と営業される側の視点ですね。

営業する側が上述の通り、コミュニケーションの問題でクロージングしずらいのはもちろんですが、営業される側も、リモートワークを採用している企業が多いので、稟議を上げるのはリモート下で行いますよね。となると、営業も弱い。凛義も弱い。ダブルパンチで結果的に受注まで持っていける可能性がどんどん下がっていくという図式ですね。かつ市場も冷えているので、お客さん側の稟議の上げ方も想定した、営業活動と舵取りを展開する必要がありますよね。

様々な切り口でのコミュニケーションがありますが、このコロナ禍においてカギになるのは何でしょうか?

タッチポイントを増やすところだと思います。コミュニケーションを深く掘れない分、SNSや記事の寄稿などで接点を増やす工夫は必要ですね。

そしてオンラインであれば、極端な話、商談の時間は10分ぐらいでもいいわけじゃないですか。だから、コミュニケーションの効率を上げ、サクサクとライトに当たっていくことができます。

コンテンツの送付や資料の送付もちゃんとしたコミュニケーションです。 「資料送付というコミュニケーション」と定義しておこなうと、精度は上げられます。どういうことかというと、今までの営業では、ありものの資料を送っていたけど、顧客に合わせて資料を変えるといったことです。ちょっとした気配りがコミュニケーションの第一歩になります。

また、コロナの影響で1番できなくなったと思うのは初回商談です。打合せはできるけど、初回商談などの「ニーズを喚起し課題を共有する」というフローがオンラインだと難しいです。

一発でやろうとしてたものを分解してやるという考え方は、一番正解に近いと思います。

コロナ禍で試してみたいことは?

オンライン商談のやり方の確立と、その手法を皆さんに伝えることです。まず、僕たちがオンライン商談で売れる状態を作ります。うまくいけばノウハウを転用できると思うので、コンサルティングサービスとして商品化したり、SNSなどでシェアしていきたいです。

あとは、ウェビナー周りの研究をしたいと思っています。これからのマーケティングは、ウェビナーが重要なチャネルになってくるはずなので。

今までのセミナーは自社の製品紹介の時間もありましたが、視聴者的にはセミナーに来ているというより、テレビやラジオを見たり聞いたりしている感覚に近いんですよね。つまり、自社の製品宣伝とかポジショントーク一色だと、これ動画でよくない?と思われてしまいます。なのでウェビナーはセミナーとの対比よりも、動画コンテンツと対比したほうが良いと思っています。

そうするとウェビナーの存在意義として、客観性や社会性があって、刺さる人には刺さるエッジの効いたコンテンツであることが大事だろうなと思っています。あとはライブでやる意味を考えるとマスよりも視聴者参加型のような、コミュニケーションがとれるメディアみたいなイメージでコンテンツ設計していくと良いのかなと思っています。

4月に「今後のインサイドセールス」をテーマにウェビナーを開催されていました。経験してみて課題は浮かびましたか?

1つ目は「見てくれている方とのコミュニケーション」です。Q&Aのコーナーを作る、質問を拾うチャット専門の人を配置するなど工夫は必要だったなと思いました。

2つ目は、「開催後のフォローアップ」です。ウェビナーから入ってくれるリードは展示会に比べてホットリードにはなりにくいというところです。気軽に見れる分、課題が潜在的な方が多く視聴されているので、困っていることを聞くとか、少しリードタイムは長く考える必要がありますし、コミュニケーションのやり方を考えていく必要がありますよね。多くの視聴者は、イベント後に営業でいきなり商品買いませんか?って言われても引いちゃいますから。

まずは困っていることを聞くとか、少しリードタイムは長く考える必要がありますし、コミュニケーションのあり方も研究する必要がありますよね。

コロナ禍において奔走されている企業に、高井さんからメッセージをお願いします

この4月以降、どの企業も、営業やマーケティングのあり方を強引に見直しせざるを得なくなってきています。極端な言い方ですが、スタートラインに引き戻されているということです。

今までのノウハウに固執せずに、いち早くオンライン上でのマーケティングにチャレンジングに取り組んでいかないと、取り残されると思っています。我々も、苦戦しつつも短期間でかなりナレッジが蓄積しています。これを営利非営利問わず全部シェアして行きたいと考えています。深刻な状況ですが、これらの課題に一緒に向き合っていけたら幸いです。

まとめ

組織に関する幅広い知識で企業のコンサルティングに取り組む高井さん。このコロナ禍でもいち早く営業やマーケティングの課題解決に向けて積極的に情報発信をされています。どの組織、起業でもオンライン商談方法の確立に悩まれていると思いますので、こちらの記事や高井さんのTwitter、noteを参考に明日から推進してみてください。

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