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Sales No.1 GrandPrix覇者が語る。お客様の人生は営業のヒアリングで変えられる~合同会社東京わくわくニシムランド代表 西村 央さん~

元々は大工になりたいという夢があり、大学は建築学科へ進学。卒業後は新卒でハウスメーカーに就職した西村さん。現場志望で入社したものの、配属先は最もやりたくなかった営業でした。鳴かず飛ばずの売れない時期から、一念発起し年間トップセールスへ。そして独立をした現在でも営業をやり続け、2019年 Sales No.1 GrandPrixの覇者に輝きました。営業嫌いの西村さんがどのようにトップセールスまで上り詰めたのかを探ります。

人の懐に入るのが苦手

何で営業が嫌いだったんですか?

人見知りな性格ということもあり、人の懐に入り込むことにすごく苦手意識があるんです。元々僕は数学とか物理が好きで、思いっきり理系で根暗なんですよね。1つのことを解き続けたり、じーっと作り続けるみたいなことが好きでした。大学でサークルを立ち上げるような、いつも人の輪の中心にいる人っているじゃないですか。そういったタイプに憧れてるような人間だったんです。

そんな内向的な人間に、営業なんてできるわけないっていうのが正直ありました。今ではだいぶ慣れましたけど、まだ人見知りしてるなって感じることもありますね。

Sales No.1 GrandPrix(S-1)への挑戦

S-1に参戦するのはかなりチャレンジだったんじゃないですか?

最初断ったんですけど・・(笑)。

主催者の方が『売れない時代の試行錯誤と、売れるまでのストーリーがとても面白い』と応援してくれて。その熱意に背中を押されて出場することにしたんです。

でも、エントリーしたあとに過去の大会のことを調べてみたら、優勝者はYahoo!やUSENのように名のある企業の営業の方が、これからの営業はこうだ!という話をしていて、ハウスメーカー出身で個人事業主になったばかりの僕が優勝できるわけがないと思いましたね(笑)。

優勝出来る訳がないと思いながらも参戦したきっかけは何だったんですか?

理由は2つあって、ひとつは、娘たちが「パパが表彰されている姿を見たことがない」と言っていたと嫁から聞いて、であれば優勝してその姿を見せようと思ったことです。ふたつめは、15年間やってきた技術が、世間に通用するのかということを試したかったからです。

競合他社の営業と差をつける感情を動かすヒアリング

カッコいいですね!ちなみにどんなネタで勝負したんですか?

僕の武器であるヒアリングですね。新卒でハウスメーカーに入社してから、最初は全然売れずに鳴かず飛ばずだったんです。その状態からトップセールスになるまで、ずっと磨き続けてきた武器がヒアリングだったんです。

普通のヒアリングとは異なるんですか?

一言でいうと、感情を動かすヒアリングかどうか。だと考えています。要望に対して表面的なヒアリングって誰でも出来るじゃないですか。ヒアリングシートベースで聞いていけばある程度ゴールが見えてきたりしますよね。

僕の場合は、お客様の要望を疑う所から始めるので、例えば一軒家を建てたいという要望に対してヒアリングが終わった結果、一軒家じゃない方が良いという結論に至ったりするんですよね。

感情を動かすヒアリングとはどんな背景で生まれたんですか?

25歳の時に家を建てたいという相談の案件を15件連続で失注したんです。相場としては15件あったら2件~3件決まるはずなんです。これが全部ダメったんです。そのときに、もうどうすれば良いのかが分からなくなってしまったんですよね。振り返ってみると、当時実施していたヒアリングは、お客様の『こんな間取りが欲しい』という言葉を、そのまま鵜呑みするスタイルだったんです。

元々やりたい職種じゃなかった上に15件連続で失注して、もう正直辞めようかなと思っていたんですけど、最後にやり方を変えてとことんお客様に寄り添ってじっくり聞いてみようと思って、16件目の商談からはヒアリングのスタイルを変更したんです。1人のお客さんに対して3日に1回くらい会いに行って、話を聞いては提案、聞いては提案を2カ月弱繰り返しました。

根っこの要望は表面上には出てこない

何か変わりましたか?

通い出して2か月後に、最初に聞いていた話と異なる要望が出てきたんです。何度も通っていたので他社のプランニングなんかも見せてもらっていたんですけど、そこにも掲載されていない要望が出てきて、その要望を提案という形にした瞬間、お客様が僕のことを選んでくれたんです。

根っこにある要望は表面上には出てこないんだな、と心から思いました。その体験以降、提案をする前のヒアリングに時間を割くようにしたんです。その結果、お客様が僕を選んでくれ始めたんですよね。

注文住宅の営業ではどういった項目をヒアリングすることになったんですか?

背景を深掘りしていくことが中心になります。例えば、ご自身や奥さんが生まれ育った環境は都会なのか自然の中なのか、マンションなのか、戸建てだったのかなど生まれた時からの背景を聞くようになったんです。

その他にも、気に入っている国や家に飾ってあるもの、普段行く場所だとか、更には生まれてくるお子さんにどういう風な人生を送って欲しいかなど、いろんな角度から話を聞いていくと、1つのテーマが見えてくるんです。

そうやって、お客様のことを丁寧に掘り下げていった結果、最初の要望と全く別の着地になることが多いんです。結局最初に出てきた要望というのは、表面的な”今の悩み”でしかないんです。本当に掘り下げていった結果、全く別の着地になることが多いので家を作りたい背景や育った環境などをお伺いするんですよね。

ストーリーが生まれる瞬間に変わるお客様の顔

お客様から何のために質問してるのか疑問に思われたりしませんか?

思われますね。最初は本当に、何でそんなことまで聞くの?という言葉をもらったり、イライラさせてしまったりしてていました。なので最初に何が隠れてるか分からないので1時間くらい質問しますが宜しくお願いしますね!という感じで商談をスタートさせるようにしています。あとは、僕からお客様に対して投げた質問は、必ずストーリーのある提案にするようにしています。

例えば、たばこは吸うのか吸わないのか、何時くらいに帰宅するのか、リラックスできる時はどういう時なのかといった質問をしたときには、夜遅くに帰宅する旦那さんが家に入ってくる前にリラックスできる喫煙スぺースを作りましょうというストーリーにつなげるんです。

お客様はストーリーが生まれた瞬間に、だから聞いてきたのか!それイイネ!といった感じにワクワクしてくれるんです。そうなると、お客様側から、そこに座れるスペースがあると良いよね!とかプラスの要望をどんどん出してくれるんです。

失注し続けた先の気付きがなければ今はない

16件目の商談が、運命の分かれ道だったんですね。

そうですね。16件目でここに気付けたのはすごく良かったですね。実は、その16件目のお客さんとの最初の商談は、1時間くらいで終わってしまったんですよ。事務所に帰ったあとに、聞いた情報をボーっと眺めて、本当にこれで良いのかなぁ?と思った瞬間に涙が出てきてしまって。

いやダメだと思って基本に立ち返って、その日のうちに御礼の手紙を書いて、挨拶しに行ったんです。そしたらお客様が、他社にだけ出そうと思っていた具体的な計画がある、と。僕はなぜ既に具体的な計画があるんだ?と思って動揺しながらも、その計画を無我夢中で聞きましたね。

紆余曲折あって発注を頂きましたが、あとからそのお客様から、初めて会ったときはヒアリング中は変な汗が額から出てるし、提案中も目が泳いでいるし、死んだ魚の目をしてたよと言われて・・笑。それほど追い詰められていたのか、と思い知らされましたね。

これから挑戦したい住宅業界の変革

これからはどんなことにチャレンジしていきたいですか?

沢山ありますが、住宅業界の営業を変えたいというのが大きなテーマです。家を建てる時って展示会場やWEBのサービスとかで調べても、具体的な話を進めるには結局営業と対面するんです。

ところが、住宅業界はOJTという名の”俺の背中を見ろ”という教育なので正しい営業方法が定着しないですし、新しい手法や情報も入って来づらいんですよね。そうなってくると、住宅業界で働く営業職は手探りで成長していくしかない。個人としての営業力はつきますが、業界全体の質はなかなか上がりづらいんです。

実際、表面的なヒアリングで家を作っている営業が多いんですけど、使い勝手など人生を考えた家作りをしないと、建てて終わりになってしまうんです。それではお客様にとって本当に良い家にはならない。なので、住宅業界の質を上げて、お客様の人生を変える家作りを僕はしていきたいんです。

まとめ

西村さんは、”感情を動かすヒアリング”を行い、やりたくなかった営業という仕事でトップまで上り詰めることができました。家を建てることが目的とならないようなヒアリング。これはお客様の成功を実現させる営業の仕事においてはどの業界でも通じる事かと思います。是非、目の前の受注だけをゴールにせず、その先に焦点を合わせてみてはいかがでしょうか。そうすることでお客様の未来も変わり、営業の未来も変わるはずです。

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