大学を卒業後、アナウンサーとして活躍されていた原さん。しかし、「アナウンサー」という肩書きでチヤホヤされてしまうこと、会社の名前で仕事が取れてしまうことに違和感を覚えた社会人6年目の春、突然マイクを置きます。そこで彼女か選んだのはまさかの営業職でした。
“アナウンサー”と“営業”。
一見全く違う世界に見えますが、原さん曰く「言葉を扱う点では全く同じ」とのこと。そんな原さんが2020年 Sales No.1 GrandPrixの優勝者となりました。
アナウンサーから営業へーーー
異例の転身を果たした原さんの、トップセールスでいるための秘訣をご紹介します。
目次
私は何者なのか?と問い続けた結果、言葉を扱う営業職へ
なぜアナウンサーから営業に転身されたのでしょうか?
みんなさんは“アナウンサー”というと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか?スタジオで綺麗な格好をして、原稿を読む。これが世の中の一般的なイメージかと思います。しかし、実際は全くの逆なんです。原稿を読むという仕事は1割、残りは取材活動をしていました。ネタ探し→テレアポ→、企画書作成→企画会議→ロケ(カメラマンのディレクション)→原稿作成→編集立ち会い→スタジオでプレゼンテーション(放送当日)
つまり、放送業務を1から10まで担当していたんです。最大のやりがいは自分で見つけた話題が電波を通して、何万という人に届けられるということでした。ただ、アナウンサーとして働き始めてから4年ほど経ったある日、上司に言われたんです。「原の取材の力はかなりついた。だからこそ今度はMCとしてスタジオを回す力や、アナウンスメント技術を高めなさい」と。
つまり、取材に行くことが極端に少なくなったんです。そこからはスタジオで原稿を読む日々。もちろん、テレビ業界では、アナウンサーは花形職業です。毎年、沢山の学生が狭き門を叩きます。そして視聴者の方のために原稿をわかりやすく読む、わかりやすくプレゼンテーションするということはとても重要な仕事だと思います。
でも思ったんです。「あ、これ私じゃなくていいな」と。
しかも、テレビは「チームプレー」です。基本的にはディレクターが企画をし、カメラマンが綺麗な映像を撮ってくれます。つまり、アナウンサーは、1人では何もできない。大勢の方に支えられて、会社の代表として、カメラの前に立つんです。聞こえはいいかもしれませんが、当時の私はこのことについて「周囲の支えがないと、私は何もできな人間になってしまう」と不安になり、放送業界を卒業することを決めました。
アナウンサーから次のステージに選んだのは、ビジネスコーチングをメイン事業にしているリード・イノベーションという会社でした。コーチングは大きくいうと、相手の扱う「言葉」を変えます。この「言葉」を使うというところに私は惹かれました。弊社のサービスであるコーチングはわかりにくい商材ですし、リードイノベーションという会社を知っている人も少ない。つまりテレビ局と違って会社の看板がないんです。ですので「あ、ここなら自分の真の力がつくな」と思いました。
ここから私の営業としてのキャリアがスタートしたんです。もともと営業したかったというわけではありませんでしたが、外に出て人に会うということは好きだったので、全く苦ではありませんでした。アナウンサーという仕事で得た「聴く・話す」というスキルに、営業という汎用性のあるものを掛け合わせたら、オンリーワンの存在になれるのではないかとも思っていたので、むしろ営業をやってみたいという思いが強かったです。
その中で、営業で苦労されたことはありますか?
まずビジネスや営業が未経験だったので、何が正解なのかわからない状態でした。しかも弊社はベンチャー企業です。常に成果は求められます。プレッシャーはありましたが、楽しんだ者勝ち。数え切れないほど失敗してきましたし、たくさんのご迷惑もかけてきましたが、今こうして皆さんにお伝えできていることは素直に嬉しく思います。
売上を達成できた要因は何でしょうか?
うまく行っている人、成果を出している人の考え方・やり方を徹底的に真似してきたことです。とあるナンバーワンセールスウーマンと言われている社外の方に「〇〇さんがアポイントで何を話しているのか知りたいので、同行させてください」とお願いをしてずっと同行をしていました。この、上手くいっている営業パーソンのノウハウをとにかく真似たのが成功の要因だったと思います。
Sales No.1 Grand Prix(S-1)への挑戦
そんな中で、S-1グランプリに出場を決められたのはなぜですか?
目的は、「誰でも意思さえあれば、諦めなければ何とかなる」ということを伝えるためでした。残念ながら世の中には、物事を諦める理由を探す方が簡単で、やり続ける理由を探す方が大変だと思っています。私がここまで来られたのは、たくさんの方々の支えがあったから。そして、決して諦めなかったからです。それを皆さんに伝えたかったんです。何かしら希望を感じてもらえたらいいな、と思いました。
実は、アナウンサーの内定をもらったのは4年生の2月。ギリギリですよね(笑)途中で諦めていたらアナウンサーにはなれていなかったと今でも思います。諦めていたら、こうしてS-1に出ることもなかったでしょうね。アナウンサーも「諦めなければ絶対になれる」と信じていました。何か本当に得たいことがあって、努力し続ければ、大抵のことは手に入れることができる。それは、アナウンサー試験の突破も営業も本質的には同じだと思っています。
人とのつながりを大いに活用した「紹介」という手法
どんな内容で勝負されたんですか?
私が大切にしているのは「いかに目の前の相手に貢献できるか」です。もともと弊社には「Giveリンピック」という文化があります。オリンピックではないですよ(笑)相手に貢献する(=Give)祭典ということで「Giveリンピック」と言っています。しかも、ただGiveしただけではなくて、いかに相手の方のビジネスに貢献できたかというのをKPIとして追っているんです。そうすると、結果として、見込み顧客をご紹介いただことがあるんです。
「原さんの話を聞きたい」という状態でお会いしてくださるので、結果お仕事になる、ということです。ここで皆さんにお伝えしたいのが、決して「真っ先に自分が欲しがらないでください。まずは目の前の相手をビジネスで勝たせてください」ということです(顧客志向)。自分のことは後でいいんです。
そしてこのユニークなGiveリンピックを会社規模で実施している企業を、私は弊社以外存じ上げません(独自性)。ではこのGiveリンピックを行う上で大切な要素とは何か?それを私たちは「AGK」と読んでいます。
紹介の秘訣~AGK~
AGKとはそれぞれ何を示しているのでしょうか?
Aは「徹底的に会いに行く」、Gは「徹底的にGiveする」、Kは「徹底的に継続」です。
まず、Aの「会いに行く」ということについてです。残念ながら、ヒトや情報やお金というのは上から下にしか流れません。自分よりも目上の方、成功している方に出会いたかったら、その方々よりも目上の方、成功している方に出会う必要があるのです。なので、まずはそういった方々に会いに行くことが大事だと思っています。出会わないと何も始まらないですからね。
次は「Giveする」ことについて。これに関しては先ほどもお伝えしましたが、自分がもらおうとしない。相手を勝たせることが、ビジネスの本質です。ですので、まずは自分ができることを徹底的にやって、相手を成功させることにコミットするということです。
そして、それを一過性のものではなく、「継続する」ことが最後のKになります。自分がなにをやって相手のためになったのか、あるいはならなかったのか。そのPDCAを回していくことで、ヒット率が上がっていきます。
「会いに行く」のは、具体的にどんなアプローチでアポを取るんですか?
基本的に、私はSNSでつながりのある方で自分が心から「会いたい」と思う方に連絡を取ります。
また、目上の方なので、「〇〇さんのようになりたいんです」とも伝えますね。そういう方は人とのつながりや知識が自分よりも圧倒的に多いので、残念ながら私にできることがほとんどないこともしばしばあります。でもそんな中でも、頭を使い知恵を絞って、できることを徹底的にやっています。
「Giveリンピック」というのは、たとえばどんなものを相手に与えるんですか?
過去、私がやったことをお伝えします。
- ・お世話になっている経営者の方のお誕生日会をサプライズで開催させていただいた。
- ・メンターから「この2冊の本を読み込んでみな」と言われ、2冊とも「手書きで模写」した。
本を「読み込みな」と言われたのは初めてだったのでいろいろと考えました。私は、その方から多くのことを学んで吸収していることをお伝えしたかったので、気付いたら、書き写していました(笑)他には、経営者の方のご紹介をしたり、お食事会にお誘いさせていただいたり、目の前の方に合わせてGiveリンピックしています。
「諦めなければ何とかなる」を精神に成果を創出
その中で、原さんが紹介という手法を使って成果を伸ばしている秘訣はどこにあるのでしょうか?
私の“言葉のコピー能力”だと思っています。
セールスウーマンの先輩のアポイントに同行させていただいたというお話をしましたが、その方の話し方のトーン・間・リズムなどを私はそっくりそのまま真似できるんです。これは、アナウンサー時代の訓練の成果です。
私はアナウンサー時代、原稿読みをうまくなりたくて、他のアナウンサーがどういう音で入ってどれくらいのスピードで話して、どういう音で着地しているかというのを徹底的に真似るということをしてきました。今でも「声真似」は得意です。同僚からは気持ち悪がられていますが(笑)
その「言葉のコピー能力」は、アナウンサー経験から、今への贈り物だと思っています。
皆さんにも、それぞれ得意なことがあると思います。決して、私が特別だということではありません。私の場合は「言葉のコピー能力」ですが、これもアナウンサーという経験を通して後天的に身につけたものです。どんな力も後天的でいいんです。生まれた瞬間からできる方なんていないですからね。
ただ、そういった力をいかに身に付けて、いかにビジネスの現場で発揮できるかー。それがとても大切だ思います。そして、その力を身につけることも決して「諦めない」こと。結局はそこに戻っちゃいましたね(笑)
まとめ
原さんは、ご自身のアナウンサーとしての経験から、「諦めなければ何とかなる」をモットーに活動され、そんな中で「紹介」という人とのつながりを活用した営業活動を継続されてきました。その結果、大きな成果を創出しトップセールスとなりました。「諦めなければ何とかなる」と聞くととてもシンプルに聞こえますが、成果創出のためには大変重要な基本だと思います。是非根本的な精神から見直し、今自分ができることは何か、そして継続させるためにはどうしたらよいか考えてみるとよいかと思います。