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負けない最後発戦略 と 成果を増幅させる正しいステップ~Marketing-Robotics株式会社 代表取締役 田中亮大さん~

Marketing-Robotics株式会社(クラウド営業ロボット「マーケロボ」 / クラウド採用ロボット「リクロボ」の開発・カスタマーサクセス)の代表である田中さんは、プレイヤーから責任者、経営に至るまで様々な視点で営業を経験しています。今でこそ当たり前になりつつある、営業活動のDX(デジタルトランスフォーメーション)を2008年から実施しており、その時代に即した最適な営業活動で営業効率化を体現してきました。そんな田中さんが現在チャレンジしている、“最後発のMA(マーケティングオートメーション)”を展開していく為の最後発営業戦略と営業成果を増幅させる正しいステップをお伺いしてきました。

どのようなきっかけでMarketing-Robotics社を立ち上げられたのですか?

これまでのキャリアを教えてください。

2008年に外資系の製薬会社に新卒で入社し翌年で独立しました。そこから能力開発のプログラムの代理店になり日本一の販売実績を達成し、日本最大の企業動画メディアである日本の社長.tvにて営業統括の取締役を担った後、WEB会議システムベルフェイスを共同創業した後に、Marketing-Robotics株式会社を設立したという経緯です。

何故、起業されたのですか?

これまで営業・マーケティング畑でキャリアを進めていく中で経理や財務、法務など様々な業務がデジタルトランスフォーメーション(DX)し企業経営に浸透しているとは感じていたのですが、営業だけがその波から遅れていると思っていました。そこで、これまでの営業経験を活かし、営業活動のDXを促進したいという想いから、Marketing-Robotics株式会社(設立時社名はタクセル株式会社)を設立しました。

これまでの営業経験とはどのような内容でしたか?

製薬会社から独立した後は120万円のCD+本の能力開発プログラムを訪問販売で営業していました。ですが、テレアポをしても、飛込みしてもアポイントが1件も取れず全然売れなかったんですね。書店でビジネス書を読んでいる人にも声をかけてたりもしてて、出禁になった本屋もあります。笑

それはそうですよね。本を読んで学んでいる人に『その本よりもっと良い本ありますよ』と声をかけ1200円の本ではなく120万円の商品を営業していたんですから。このやり方では売れないだろうと思い、営業のやり方を変えていかなければと考えていました。そこで考えたのが購入してもらうためには、正しいステップを踏まないといけないということだったんです。今でいうペルソナ設計やカスタマ―ジャーニーマップといったところです。

具体的には何をしていたのですか?

ペルソナは能力開発プログラムを購入してくれる顧客を自分と同世代の20代のビジネスパーソンと設定しました。ペルソナを設定してからはカスタマ―ジャーニーマップとして購買に至るまでのステップを考えました。当時はmixiというSNSが流行っていたのでので、まずはmixiでコミュニティを作り、そこに集客をしようと考えたんです。

そのコミュニティに集客するためのシナリオを考えて、数ヶ月で1000人を超える規模にしました。mixiには“足あと”という特定のページを閲覧した履歴が分かる機能もあったので、足あとが付いた人にはA施策、足あとが付かない人にはB施策といったロジックツリーを作って運営していました。アナログのMA(マーケティングオートメーション)といったところです。

当時のmixiを活用してMAの役割を果たすなんて信じられないですね!笑

当時mixiは大半の方が友人との交流や男女の出会いで使われていた中、私はがっつりビジネスで使っていました。笑

コミュニティに人を集めてからは、毎週日曜の朝に目標設定やモチベーションアップなどの勉強をする朝活を2年間コツコツ行い、ファン作りを実施しました。個別でアドバイスが欲しいと相談してくれた方には有料で開発プログラムのクロージングをする流れで、結局120万円のサービスを日本一売りました。私が営業でデジタル活用をはじめた最初の一歩でしたね。

営業デジタル化を既に10年前から確立していたんですね!

あんなに苦労してテレアポや飛込みをしていたにも関わらず、取れなかったアポイントが、デジタルを活用したことで対応できないくらいに埋まってしまう、という大きな成功体験がデジタルとの最初の出会いでしたね。

机上の空論ではなく、自分自身「こんなはずじゃなかったのに!」という体験をした後に良い戦術や考え方と出会えたので当時は非常に助かりましたね。肝心なクロージングでも、セミナーに来場頂いた方から個別相談したいと要望を受けたら通帳と印鑑持ってきてくださいね!と伝えていました。

そう伝えることで、お客様も、もちろん私も中途半端な気持ちで会うということはなくなるので、実際に話をして、良いと思ってもらえたらスムーズに購入手続きに移ることができるんです。これは23歳の時に考えた仕組みなのですが、今でも活きていますし、日本の社長.tv時代も同じやり方で成功しました。

最後発でMAを事業としてやっていこうと思ったきっかけは何でしたか?

ベルフェイス退いた後に在宅のコールセンター事業タクセルを立ち上げ、在宅の主婦の方にインサイドセールス業務を担当してもらっていました。インサイドセールスはマーケティングと密接に関わる部分も多いので、マーケティングの状況を聞くと、MAツールを導入している企業も多かったのですが、せっかくMAツールを導入しているのに、使いこなせていないパターンの企業が結構存在していました。

ベルフェイスの名残もあったので、錚々たる企業から発注を頂いていましたが、そういった企業でもMAを使いこなせてはいませんでした。使えてないのであればアカウントを付与してください!とお伝えして様々な企業のMAを代わりに運用していたんです。

世の中は、ツールベンダーはツール開発、BPO企業はBPO業務というすみ分けがされていますので、、そういった企業との差別化として自社がベンダーとしてツール開発も行い、BPO・コンサルティング業務もワンストップで提供するという意思決定で差をつけました。

最後発のMAのどこに勝ち筋を見いだしていたんですか?

2018年4月から本格的にMA市場に参入したのですが、その市場で勝つためには3つの戦略を考えました。

  • ・競合と被らないターゲットに営業する
  • ・価格設計を変える
  • ・フランチャイズモデルの運営

それぞれ具体的に教えてもらえますか?

1つ目の「競合と被らないターゲットに営業する」というのは、競合とターゲットが重なることによって高確率で価格交渉になり、誰も得しない状況が生まれます。ですので、『MA』と検索をしないような方、例えば地方の中小企業などをターゲットにしました。

地方の開拓で難しいのは、彼らがインターネット検索を活用しないことなんです。リスティング広告に出稿してもしょうがないんです。ですのでペルソナとして設定しているのは、検索情報より、口コミや人との繋がりを重視している経営者です。

2つ目の「価格設計を変える」というのは、ツールに値決めをしないということです。お客様はツールに対価を支払うのではなく、運用したその先の成果が欲しい訳です。運用できるスキルがあればツールだけで良いですが、現状運用で困っている企業様が多い。

MAツールを提供している企業は色々ありますが、どこも運用支援を事業として行っていなかったので、“ツール×運用”を私達が担うと決めました。カスタマーサクセスを無料で提供するのではなく、有料で提供し、徹底的に顧客への成功へコミットする提供モデルを構築しました。

勇気がいる選択ですね

この戦略は最後発しかとれない戦略ですね。既に価格を決めて提供しているMAツールベンダーが私達も0円でやります!となった場合、既存顧客とのトラブルが避けられません。つまり、最後発しかとれない戦略をとったということです。

3つ目の「フランチャイズモデルの運営」は、私達と同じ導入支援事業を生業としている企業様への提供モデルです。導入支援をするとなると、MAの導入費用と支援の委託費用でダブルコストになってしまうのでエンドのお客様のコストも上がってしまいます。そこで開発原価だけ得られるような高いバック率で同業の企業様にも弊社のMAを0円で企業に導入頂き、支援をして頂いています。

この3つを推進していれば、きちんとビジネスになるとスタート時点から考えていました。勝てる戦略を立案するにはペルソナを設定し、浸透拡大していくためのジャーニーマップが必要な訳です。

ここでもペルソナ設定とカスタマ―ジャーニーマップが重要な訳ですね

ペルソナに関してもう少し深く話をすると、一般的に、ペルソナを作る意味はターゲットを設定し絞ることで、尖ったメッセージを伝えることが出来るからだと言われています。もちろん、これはこれで正しいですが、私は”顧客を見つける力”を鍛えるうえで、とても重要だと考えています。

今、日本の人口が減少している、つまり、ターゲットの母数も減少しているわけです。新規案件を作り出すこと自体に労力が非常にかかるようになってきています。数の限られているリストをただ消費するよりも、自分の得意な領域を把握したうえで、案件になりそうな人や企業を見つける方が、はるかに獲得コストは低いです。

リードジェネレーション(見込客創出)とは言われますが、リードファインディング(見込客発見)とは、あまり言われません。ペルソナを詳細に設定すればするほど、今の繋がり中から、見えていなかったターゲットが浮き出てくる体験を必ず経験できます。

営業活動にも通じることですか?

営業パーソンも一緒です。自分のリストが少なくなっているから、もっとリストを追加して欲しいという要望を受けますが、先ほども述べた通りリストになりうるターゲット母数が減ってきていて、無尽蔵にリストを増やすことは到底出来ません。自分で新たに見込み顧客を発見する必要があるんです。ですので今は“リードジェネレーション”というキーワードよりもはるかに“リードファインディング”の方がマッチします。

ペルソナを作ると、このリードファインディングが飛躍的に加速します。例えば、「ベンチャー企業のマーケティング担当」をターゲットとした時、ペルソナを「カフェで仕事していてPCにステッカーを沢山貼っている人」と決めたとします。

そう意識してカフェに入ると沢山いるんですよ。そこで普通に弊社の商品って知ってますか?とか声掛けちゃいますよね。笑なので、自分のリストを増やすという意味でも、営業パーソンが自分のペルソナを作ることは大切なんです。

まとめ

いつの時代もサービスを売ることに変わりはないですが、その売り方は異なると感じさせる田中さん。営業パーソンは、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップなど本来マーケティング活動で駆使するようなフレームワークを活用して活路を見いだしてみてはいかがでしょうか?そして時代に即したツールも活用し、より効率的にお客様を発見していくことが出来ると良いですね。

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