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セールスというアートをサイエンスする ~株式会社マツリカ マネージングディレクター兼Sales Science Lab.代表の中谷真史さん~

新卒で入社したのは外資系の製薬会社。でもMR(医薬情報担当者)として中谷真史さんが配属されたのは、成績が全国最下位の営業所でした。MRの仕事は、医師や薬剤師に医薬品情報を提供すること。やりがいは大きいですが、外資系企業は成果主義。最下位にいては満足なインセンティブは得られません。そこで中谷さんはどう行動したのか。「セールスというアートをサイエンスし、日本の営業パーソンをアップデートする」をモットーにコンサルティング活動をする中谷さんに“営業”について伺ってきました。

人と話すのは苦手。でも必要なスキルだと思い飛び込んだ。

どうして薬事関係の仕事を選んだんですか?

自分の場合は、レベルの高い営業マンになりたくて入ったというのが1番です。特にMRって、明らかにドクターの方が賢いし、経験や知識もある。それに対して僕みたいな文系卒の若手社員が信頼を得て売るためには、圧倒的に営業を極めるしかないわけで。なので、MRであればハイレベルな営業のスキルが身につく仕事だと思い決めました。

営業という仕事をどう捉えていましたか?

どちらかというとやりたくなかったですね。でも、今後どんな仕事をする上でも必要なスキルだと思って飛び込んだんです。私、人は好きなんですけど、口下手なんです。だから最初は苦労しました。

でも、当時、糖尿病関係の新薬が発売になり、日本で1番の営業成績を収めることができました。その新薬の情報を僕がMRとして病院やクリニックに提供していったんです。結果的に、その製品が売れただけではなく、営業活動を通じて同僚もドクターも代理店も、皆が自分を応援してくれて一丸となることができて、”営業は人の心を動かせる”という圧倒的なやりがいを感じました。

他の人と違う仕事のやり方をしていたんでしょうか?

営業マン全員に対して、だいたい1日に10件商談しなさい、何件訪問しなさいっていうKPIが設定されていたんです。でも、僕は平均商談数が3.5件くらいだったんです。とにかく人より働かない。人より楽して売るってことを自分の中で意識していました。ただ、そのぶん訪問していない時間は勉強したり情報収集して、ずっと戦略を考えていました。

そこで自分が思ったのは、訪問件数と売上高って相関はあるけど因果はないよねってことで。確かに訪問件数が多い方が売上は上がる傾向にはある。でも、それって結果論でしかないんですよね。

訪問件数を下げても、質を上がれば売れるんです。極意は楽して売る。

訪問回数を減らしたら売れなくなるのではないんですね?

もう1つ考えたのは、営業って質✕量の世界なはずなので、量だけ追い求めて質が下がったら意味がないってことです。そこで、量を下げても質が上がれば良いと思って。訪問件数(量)を1/3に落としても、質を8倍に上げられれば人の2倍強売れるっていう計算で。実際、質が8倍だったのかは分かりませんが、トップの時って人の2倍くらいは売れていたと思います。

そういう考えに至るきっかけは何ですか?

最初の配属地が富山で、営業所の成績が全国最下位だったんですね。歴史的にずっと負け続けているところで。外資なので、やっぱりインセンティブの比率って高いんです。成績が振るわない土地に配属されるだけで、ボーナスは0円になりますみたいな人もいっぱいいる。

一方で売上が高いエリアに配属されれば、それだけでボーナスが人よりプラス200万円もらえるみたいな。そういう不公平なところがあって。そんな市場だったので、「人とは全く違うことをやらなきゃ売れない」って思いました。

MRでトップだったのに、3年でコンサルに転身する理由は何ですか?

僕は幼少期から大学 の終わりまでずっと、サッカー選手を目指していたんです。でも、実力が不足していてプロにはなれませんでした。そこでもしプロサッカー選手になっ ていたら得られるはずだった、社会的評価や収入をビジネスの世界で成し遂げるには経営者しかないなと思ったんですよね。

その中で、起業するんだったら「まず営業ができないと、食いっぱぐれるよね」ってところから営業になったんです。

そして、1位になって「(営業に関しては)もうこれ以上ないかな」と。そして営業活動以外のスキルが乏しいことに気がついたんです。経営コンサルになったら経営のことが良く分かって起業に活かせるんじゃないかと思って、コンサルに転職しました。

コンサルは2社経験していまね。まずベイカレントを選んだ理由は何ですか?

コンサルには業務系、戦略系、IT系と大きく3つの種類があります。それと、そのすべてを展開している総合系に分類されるんですね。

その中で、自分は何が得意で何をやりたいかが分からなかったので、業務、戦略、ITと全部経験できる総合系のファームが良いかなと考えました。それがベイカレント ・コンサルティングでした。

1年後にリブ・コンサルティングに行ったのも、その業界に入ってから自分のやりたいことを絞り込んで進む道をイメージした結果というですね。

コンサル時代には、どんな気づきがありましたか?

総合系のファームに行っても、コンサルにはハイレベルで営業というものを理解している人はほとんどいないんです。なので、僕がこれまで営業で培ってきたスキルって、やっぱり強いなと思いました。

営業って、「こういう風にしたら成果が必ず上がる」というものを体系立てて理解している人ってあまりいないでんす。また、組織 としてどうやって成果上げたら良いかを知っている人もいない。一方で、コンサルでも営業について現場感を持って本質的に理解できている人もなかなかいなくて。なので、そこのポジションだったら僕は唯一無二になれるんじゃないかと思っています。

それに、純粋に会社の業績に寄与できる仕事って営業の醍醐味ですし、それは素晴らしいことだなって改めて気づきました。だからこそ営業という仕事が大好きだし、営業の成果をコンサルタントとして上げられる人間になりたいと思っています。

型がない営業は、時計なしで生活している人と同じだから。

Sales Science Lab.(セールスサイエンスラボ)とマツリカの関係性を教えてください。

セールスサイエンスラボは、2つ目のコンサルを辞めた後に立ち上げた、営業コンサルティング事業です。マツリカは、事業を効率化するための営業支援ツールを探している過程で出会いました。

セールスサイエンスラボは、僕が個人的に運営しています。なので、自分の作業時間と考える労力に対してフィーが発生します。マツリカのクラウド営業支援ツール「Senses(センシーズ)」を使うと、その効率を高められます。マツリカには、Sensesの話を聞く過程でマツリカの壮大なビジョンとSensesというプロダクトの持つポテンシャルに大きな可能性を感じ入社を決意しました 。

マツリカでは、クライアントのSensesの運用 支援やオペレーションの改善支援、営業のコンサルティングを しています。そこでは、セールスサイエンスラボで僕が開発したノウハウやロジックをどんどん使っています。

営業の仕事に就いていて、何となくうまくいっていない人にアドバイスをお願いします

顧客が初めて営業に会ってから契約という意思決定をする までに、人の心は心理的な変遷をたどります。僕の場合は、その心の動きにはどんなステップがあって、そのステップを越えるためには何をしなければいけないか、みたいなことをずっと考えていました。

僕が定義している『商談のゴールデンスタンダード』のステップ大きなくくりでいうと、信頼関係構築、ニーズ把握、ニーズコントロール、クロージングの4段階にわけられます。

たとえば簡単な例をあげますと、信頼関係を構築するためにどうしたら良いかというと、まず一人の人間としての好感 を持たれることと、ビジネスマンとして圧倒的な知識をもとにプロフェッショナルのポジションを獲得することの2つしかないんです。こうやって考えていると、必ず型ができるんです。そして、型ができるから振り返れる。

型がない営業マンって、時計なしで生活している人と同じなんです。時間が分からないと、遅刻しているのか早く着きすぎているのか分からない。型がなかったら何も振り返れない。なので、人の心理みたいなところをできるだけ可視化して、それと営業プロセスの進捗歩留まりのような成果指標を結びつけ、この二つを連動させて考えることで、確実にPDCAが回り、「狙って」、「狙った通りの」実績を出せるようになるんです。

まとめ

自ら「口下手」と語る中谷さんは、苦手だった営業で成果を残すため各種の仮説・検証 を繰り返して自分オリジナルの営業メソッドを作り上げました。そして、試行錯誤の末に会得した営業職時代のノウハウは、コンサルティングに転身した現在も強い武器となっています。今回中谷さんが公開してくれたノウハウや仕事への姿勢は、営業活動で連日奮闘する若い皆さんを勇気づけ、元気にしてくれるものだと思います。気になる方は、Twitterアカウント(@midvalley2nd)をフォローしてみては?

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