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プレゼンテーションは整理能力が全て。数多くのコンペを制して得たプレゼンに必要な3つの条件~株式会社LGBT総合研究所 森永貴彦さん~

2011年に大学を卒業して株式会社大広に入社。入社後はマーケティングプランナーとして、企業のリサーチ 戦略立案、事業開発などを担当し、2016年に博報堂DYグループ内の起業制度を活用し株式会社LGBT総合研究所(LGBT総研)を創業した森永貴彦さん。難易度の高いコンペティションを制した、プレゼンテーションスキルについて伺いました。

目次

このチャンスを逃すわけにはいかない

今はどのような仕事をされているのですか?

LGBT総研の事業経営を中心に、多岐に渡る活動を行っています。LGBT総研の事業全体をデザインしながら、クライアント課題に対する企画提案、メディアや広告物の表現監修、それ以外にも社会課題を解決するために様々な自治体やNPO等と連携して施策検討を行っています。

クライアントとはどういった関わりがあるのですか?

企業様がLGBTと向き合うときにやるべきことは3つのフェーズに分けられます。最初のフェーズがLGBTとはどんな人なのかを知っていくというフェーズ。次にLGBTの方々の顕在化しにくいニーズに傾聴し、解決に向けて取り組んでいくフェーズ。最後にLGBTの方の感性や価値観を調査していき、当事者の感性を活用して新たな価値で商品開発やプロモーションに活かしていくというフェーズ。こうしたフェーズ毎の支援を弊社では行っています。

LGBT総研が出来たきっかけはなんだったんですか?

もともと、国内のLGBTに関するデータを取得していきながら活用していくという事業をやりたいとずっと思っていました。でも個人で始めるのはなかなか難しいなと。そんなときに、AD+VENTURE(アドベンチャー)という博報堂DYグループ内の起業制度が発足されたので、このチャンスを逃すわけにはいかない、と2011年からの5年間ずっと応募をしていました。

5年の歳月をかけ厳しい審査を潜り抜けての起業ということですね?

想像以上に厳しい審査でした。入社して間もない頃から応募していましたが、当時の自分にプレゼンテーションスキルがある訳ではなく、社会的にも未だLGBTが認知されている状態ではなかったので相当苦戦しました。通過のために様々な工夫を重ねたこと、加えて日々の実務経験の中で習得した3つの方法で飛躍的にプレゼンテーションスキルを向上させた結果、アドベンチャーを通過できたんだと思います。

厳しいコンペティションを通過したプレゼンテーション3要素

3つの方法教えて頂きたいです!

この3つ以外にも細かいテクニックは多くあるんですが、

  1. 情報整理
  2. 多角的な視点
  3. 本番想定

の3点です。

情報整理からお伺いしたいです!

3つあげた中でもこの整理能力が全てだと思っています。「何を伝えたいか」「そこにストーリーがあるか」そして「自分の思いを伝えていく最善の方法」これらを整理して組み立てることを情報整理能力と定義しています。この情報整理でプレゼンテーションの良し悪しが決まると言っても過言ではありません。

情報整理が苦手な方は多いのではないでしょうか。

伝えたいことが多すぎて、よくわからなくなってしまうのかな、と思います。もちろん、伝えたい情報って沢山あると思うんですけど、伝えられる時間は限られています。その中で本当に伝えたいことは何かを考え、骨子の段階から必要なことだけを選定していく。それをどう伝えるかシナリオを組むんです。ポイントとしては、相手が疑問や不安に思う要素を排除するということでしょうか。例えば、この言葉ってどういう意味?やこの数字って何?という疑問は余計な要素なので、そういう不安要素を整理して骨子を作っていくんです。

アドベンチャーの際に具体的な情報整理は何をされたんですか?

LGBTに関わるビジネスは国内ではほとんど先行事例がありませんので、リスナー(審査員)も初めての知ることが多いんですね。なので、よりきっちりとした整理能力が求められました。初めて聞く人の視点でLGBTとは何かという話から、どんなところにビジネスチャンスがあるのか、そしてLGBTの感性はどれだけ価値があるものかをきっちり整理してベースの部分として伝えました。それからはビジネス視点で国内のLGBT市場をどう活用していくのか、LGBT市場へどうチャレンジしていくのかという点などの事業軸を整理していました。

何故、情報整理が必要だと思ったのですか?

情報整理はコンペティションを通過させる重要なポイントだと思ったからです。なぜならリスナーには色々な視点をもった方々がいます。そういった方々が事業の“何をどういう視点でみて”出資しても良いなと思うのか。この相手の気持ちに立って伝えたい情報を整理していくことが大事なんです。2つ目のポイントである“多角的な視点”にも通じるのですが、自分1人のアイデアを客観的・多角的に見て、どんな視点から見たときでもわかり易く整理できるかが勝負なんです。

リスナーの方々を意識するということは大事なんですね

そうですね。まったく相手のことが分からないままプレゼンテーションをするということは極力避けた方が良いと思います。私はプレゼンテーションを始める10分前でも、ちょっとした会話の中で相手の気持ちを引き出すような会話することを心掛けています。きちんと向こうの気持ちに寄り添って話をしていくことが大事なんです。

何を取り込んで何を取り込まないか

2つ目のポイント「多角的な視点」で企画を整理するためにやっていたことはありますか?

アドベンチャーにチャレンジしていた5年間に「多くの方々の視点で事業企画を叩いて組み直す」という作業を繰り返していました。

具体的には、グループ内企業のマーケティング担当や営業担当、外部のコンサルティングの方や投資会社の人、将来クライアントになり得る企業の担当の方などに、事業構想を見せられる範囲で開示して、ヒアリングしながら修正をかけていくということをやっていました。

どんな感じでヒアリングしていったのですか?

皆さんそれぞれ得意不得意な領域が異なります。例えばB2Bの領域に関して強みがあってもB2Cに関しては分からないなということありますよね。ですので、この前はB2Bについて話を聞いたから、次はB2Cを得意としている方に聞いていこう、みたいな感じですかね。どんなビジネスモデルにすべきかをその道のプロフェッショナルな方々に相談できたのは大きかったです。

どのくらいの人に相談されたのですか?

フィードバックを頂いた方は5年で100名は超えるのではないでしょうか。アドベンチャー企業に選ばれるという短期的な部分を目標にしているだけであれば、こんなに多くヒアリングしなくても良かったのかもしれません。ですが事業を大きくしていきたいという気持ちがあったので、選ばれたその先に進むにはどうしたらいいのかなど、かなり深くまで聞いていましたね。

そうなるとどの意見を取り入れるかの取捨選択が難しそうですね。

本当にその通りで、100人からフィードバックをもらうと何を取り込んで何を取り込まないかが大切になります。なので、自分の中で基準をしっかり持つ必要があります。私の基準としては、「大前提論理的であること」そして「自分の信念や事業の思いにそっていること」の2つを置いていました。

悩んだときは「この意見は本当に筋が通っているかな?」というのを考えて、理にかなっていると思ったら採用していきます。そして、自分の信念や事業の思いと照らし合わせて、やった方が本当はうまくいきそうなんだけど、やりたいことと違うなぁとか、自分の考え方と違うと思うものは取り込まずに排除します。

効果的なやり方よりも信念が大事なんですね!

そうですね。自分の信念とは異なるやり方などは排除していかなければ、いろいろな点がぶれていくんですよね。実際、色んな意見を全て取り入れていた初めの1、2年目はぶれてぶれて失敗していたという感覚がありました。自分が作るこの会社は世の中に必要なものなんだ!ということを自信満々に言える状態でなければ事業を拡大していくことはできません。実はそんな自分自身のぶれない自信を確立させるためにもこのヒアリングを実施していたのかもしれません。

山のようにプレゼンしてきたその経験が強み

3つめのポイント「本番想定」とはどういうことですか?

これは企画と言うよりは資料を作るときのポイントですね。読んで字のごとく、本番以上に本番を想定するんです。

当日のリスナーはどういう目線で資料に目を通していくのか、資料はスクリーンに投影するのか紙なのか、投影であれば部屋のどのあたりにスクリーンが存在するのかを想像しながらどこに情報がプロットされていれば分かり易いのかなどを実際にプレゼンしている姿を想像しながら情報をまとめていきます。

そのくらいだったら出来るかもしれませんね!

ですがこれが難しいんですよ。伝えたいことがあるからこそプレゼンをするのですが、思いが強ければ強いほど入れたい情報が山積みなわけです。ですがその情報は資料に必要か必要じゃないかを相手の視点に立って考え、不要な情報は捨てていきます。

例えば、定性情報なんかは言葉でインプットしていった方がいいですよね。そうやって情報をそぎ落とした上で、相手がこの資料をインプットしてくれる時間はどれくらい必要なんだろう、その間に話をしても聞かれないから、どのくらい時間をおこうということまで考えてプレゼンテーションの台本をコントロールします。

森永さんは最初からそこまでプレゼンに気を配っていたのですか?

全て最初から行っていた訳ではありません。山のようにクライアントにプレゼンをしてきたのでそこで得た経験が大きいです。でも考えてみると結局は毎日小さなプレゼンを積み重ねているんですよね。クライアントや上司への報告もプレゼンテーションだと意識しながら、次のプレゼンテーションでいかにそこで学んだことを活かすことを繰り返すかの連続だと思うんです。

成長できる環境はすぐそこにあったという訳ですね。

そうですね。プレゼンが苦手という方は、大舞台でのプレゼン経験はありませんとか、緊張していて次に振り返るとかできませんでした!と言うんですが、プレゼンテーションの機会は日常の多くにあるんです。昨日見たテレビの内容を友人に伝えるのも、伝えたいことを伝える1つのプレゼンテーションです。そう考えると、いつでもトレーニングができるはずなので是非、今日今から誰かと話をするぞ!という機会に小さなプレゼンテーションだということを思い出してもらえればと思います。

まとめ

数多くのコンペティションを戦い抜いてきた実践経験豊富な森永さんは、プレゼンテーションで重要なことは情報整理、多角的な視点、本番想定と3つだと言います。そして毎日の人とのコミュニケーションの中にはプレゼンテーションスキルを向上させる機会が存分にあるようです。是非、日々のコミュニケーションから意識していけると良いですね!

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