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【売ることよりも売れ続けること】データで解明するトップセールスのメカニズム~ウイングアーク1st株式会社 久我温紀さん~

ウイングアーク1st株式会社に営業として入社後、当時の営業組織のルールや常識を覆して5年連続トップセールスとして君臨し、MVPを受賞し続ける。
“勝ち続ける営業”に必要なデータ思考を、ウイングアーク1st株式会社マーケティング統括部統括部長の久我温紀さんに伺ってきました。

逃げ道がない、そんな営業でチャレンジしたい

営業を選んだ理由は何ですか?

将来、事業をつくることに関わりたいと思った時に、営業経験がとても重要だと考えたからです。数字で評価されるので言い訳が出来ないですし、営業の方法も1からつくっていかないといけない。逃げ道が1つもないみたいな状況がすごく面白いと思って営業を選択をしました。
事業をつくる際も、そういう逃げ道がない局面って絶対に訪れると思うんです。資金繰りもそうしでしょうし、言い訳なしで成し遂げないといけない、みたいな・・・。
それを乗り越えるための「成し遂げていく力」が身に付くのが営業なんじゃないかなと思って、挑戦してみたくなりました。

営業に挑戦してみてどうでしたか?

営業が持っている価値はすごく大きいなって思いました。PayPal(ペイパル)の創業者のピーターティール氏が「差別化されていないプロダクトでも営業と販売が優れていれば独占を築ける」と言っていて、更に「製品が良くても営業と販売がダメだったら売れない」と言っています。例えば、Googleも法人営業部隊が強くなって売上が伸びたと言われていますよね。
逆に、知り合いの企業でマーケティングだけで販売しようと考えていたところがあったのですが、やり始めてみるとなかなか上手くいかなくて。問合せは来るらしいのですが、どうしても小規模の案件しか取れないという状況が続いていました。しばらくして、もっと収益を上げていくためにどうするのか考えたときに、結局営業部隊が必要になったと聞いています。そういった観点でも営業が持っている価値はすごく大きいと感じています。

売れる営業とそうでない営業とは何が違いますか?

どんな営業パーソンでも”売る”ことは出来ます。ですが、”売り続ける”ことは難しいと思うのです。
極端な話、短期的に”売る”だけでしたら売りつける、に近い行為をする人もいるかも知れません。でもそれって非常に効率が悪いと思っています。
お客様が「売りつけられた」と感じている場合は、その人たちが再度購入してはくれませんよね。つまり、常に新規顧客を探し続けなくていけないので、結果的に営業コストが高くつきます。なので、営業は”特定のお客様に売れ続ける”事の方が、結果的に効率が良くなります。
そして、売り続ける為にはマーケッターの視点を持ち、お客様が何を必要としているのか、という「本質的な価値=バリュー」を提供しなければいけないと考えています。
営業側がお客様に商品の強みを押し売りするのでは、購買意欲は高まりませんので、どう必要性を感じていただけるか、どれだけ価値があるものなのかを考える視点が本当に大切です。その視点がずれていくと営業として、またビジネスパーソンとして欠点のある人間になってしまうと思います。
その視点で考え続けていかないと、何よりお客様に喜んでいただけませんよね。(笑)

 

勝ち続けるための異常値とは

勝ち続けるために大切なことはなんですか?

勝ち続けるためには、「異常値」を出し続けられるような、確率をコントロールすることが大事だと考えています。
例えば、サイコロを振って「1」を出したいとします。その時に、たまたま振ったら「1」が出た・・・という運任せではなく、何回振っても「1」が出る、という異常値を出し続ける「仕組みづくり」が重要になると考えています。

その仕組みづくりでは、「受注率をいかにして高めるか」と「効率化」に焦点を当てます。行動量は努力しても「異常値」が出るほどの差は作れませんが、受注率の抜本的な改善が出来れば、成果に対するインパクトは大きなものになります。

そのために私が行っていたことは、マーケットの分析です。私は、他の営業パーソンよりも社内でパソコンを前にすることが圧倒的に多かったのです。
勿論当時の上司からは、「中にいないで外に出ろ」と言われ続けていましたが、「数字で証明します」と言って理解してもらっていました。(笑)

そして社内では【どの時期に問い合わせが来る】とか【どういう状況のお客様が高確率で受注に至るのか】などを分析していました。
結果的に、月曜と金曜にホットな人達が問い合わせをしてくるという傾向が出てきたので、金曜と月曜は外出しない日と決めて、電話が鳴ったら最初に出てその問い合わせを全部自分で捌くようにしていました。これはお客様から月・金のアポイントを要望されたとしても、絶対に破ることのない運用方法でした。

そもそも、営業の仕事は【リードをつくること】と【クロージングすること】の2つです。質の高いリードをいかに効率良く集め、それをいかに素早く前進させるかが肝心です。

効率化の観点で言えば、とにかく無駄を無くすことです。移動時間もコストですから、訪問前に電話やメールで徹底的にヒアリングを行い、購買意欲を高める取り組みをするなど、必要のない外出を極力避けていました。勿論、資料は汎用化し個別の企画書も効率よく作成できる体制を整えました。

このように無駄な時間が減れば、ホットリードに向き合う時間が増えるので、また受注率が上がります。マーケットの分析と効率化を突き詰めることで、異常値を出し続けることのできる仕組みを整えたのです。

 

新しいマーケットに投資しないと進化はない

勝ち続ける営業組織をつくるために意識していたことはありますか?

短期的な売上が作れるようになった後は、中長期的な売上が上がる仕組みづくりに着手してきました。商品が売れる理由には「流行」や「ブルーオーシャン」といった、外部要因もあるかもしれません。しかし、こうした市場では「永続的に勝ち続けることができるか」と言われれば、そうではありません。
そのため、新しいマーケットやターゲットの開拓を常に行わないと、勝ち続ける営業にはなれないのです。

しかし営業としては、即効性が無いのでなかなか手を出しにくいのも事実です。
ただ、先にあげたように「受注率の向上」と「効率化」が実現できれば、このような新市場の開拓に向き合う時間を作ることが出来るのです。

勝ち続けるためには、今日の売上だけでなく、明日・明後日の売上を見据えた営業活動を、戦略的に描いていくことが重要になります。

 

まとめ

営業というと、一昔前では「足で稼ぐ」「顧客と出来る限り会う」「精神論」が重要視されていました。今でも営業パーソンによっては、出来る限り外に出て顧客と対話したい、と思っている人が多くいるかもしれません。
しかし、今回、久我さんにお話を伺い明確になったことは、顧客と対面で商談する数よりも、「ホットな顧客といかに効率よく商談するか」にこだわることが「勝ち続ける」ために重要であるということでした。そのためには、自身の行動や問合せの傾向、顧客のニーズなどを徹底的に分析し、受注率と効率を高めることにありました。
本コラムをご覧の営業パーソンも、闇雲に商談に臨むのではなく、是非、受注率と効率を意識した営業に挑戦してみていただきたいとおもいます。

 

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